減っている緊急の胃カメラ | 石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

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先日、胃潰瘍に対する緊急内視鏡(の勉強会)

についてレポートしました。

https://ameblo.jp/yokkaichishoukaki/entry-12607770991.html

 

こういった緊急内視鏡の件数は全国的に減ってます。

 

皆さんご存知の

『ヘリコバクターピロリ菌(通称:ピロリ菌)』

 

昨今〝ピロリ菌の除菌〟を行う方が多くなり

胃潰瘍、胃がんの発症および

それによる消化管出血も

劇的に少なくなりました。

 

 

では

食道静脈瘤破裂はどうでしょう?

 

C型肝炎ウイルスに対する

極めて有効な治療薬が出たことにより

食道静脈瘤が発生する素地の肝硬変にまで

進展する総数も減っているのと、

 

肝硬変のかたは

胃カメラの検査を定期的に受けていただき、

あらかじめ吐血しないよう

破れそうな食道静脈瘤を

輪ゴムでくくって治して

(内視鏡的食道静脈瘤結紮術:EVLといいます)

いることが多くなりました。

 

なので、

緊急で止血をする内視鏡の件数がへっているんです。

この状況は人類にとって良かったと思いますね。

 

今回はこの内視鏡的食道静脈瘤結紮術

の院内勉強会

実際の患者さんではできませんので、

湿布に食道静脈瘤の破裂した出血点を作ります。

 

胃カメラの先端に透明なフードをかぶせ、

輪ゴムをかけます。

フードの中に食道静脈瘤を吸い込んで

遠隔操作(注射器のピストンを押す)で

輪ゴムが外れ、タコのあたまのような形で括られた

血管がのこります。

 

 

原理、手順を説明



 

 

そのあと

内視鏡にデバイスをつけた状態で

参加したすべての看護師さんたちにも

実際に操作してもらいましたよ

1週間もすれば、

括られた血管はぽろっと脱落し、

そこはいったん食道潰瘍になりますが、

潰瘍がなおるとともに

新しい粘膜ができて静脈瘤が消える

というわけです。

 

落ちた輪ゴムは

こんなに小さく(黒ごま粒みたい)

う○ちと一緒に

わからないように出てくる(はず)

 

なお、食道静脈瘤の治療法は

EVL以外にも行われておりますが、

EVLが今の所もっともメジャーです。