日本で唯一処方される「食欲抑制剤」について | 石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

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現在、肥満症治療のため

日本の病院で処方可能な

「食欲抑制」を目的とした薬は

商品名「サノレックス」(薬剤名:マジンドール)

一種類になります。

(外国では糖尿病薬の副作用である

食欲低下を逆手にとって利用するケースもありますが)

 

 

注意が必要なのは

痩せ薬(飲めば痩せる)ではなく

食欲が我慢しやすくなる薬(食欲抑制剤)

であるということです。

 

肥満外来をしていると

若い中肉中背のお嬢さんが

「小さいお洋服が着たい」

「痩せる薬出せますか?」

という感じで相談を受けることも

まれにあります。

 

気持ちはわからなくもありませんが

病院で行う肥満治療は、

生活習慣病の発症、増悪予防とか

関節に障害をきたさないため等に行います。

 

サノレックスは、保険がききますが

BMIが35以上の高度肥満(III度肥満)

にたいし

食事療法、運動療法(筋トレ)、

行動療法(噛む回数を意識するなど)をやったけど

失敗して心が折れそうなとき

補助的に処方されるものです。

 

最初は気持ち悪くなったりするそうですが、

「間食や夜食が我慢できるようになった」

と言われます。

みなさんよくご存知のロキソニン(解熱鎮痛剤)と比較すると

大変小さい錠剤であるのがおわかりいただけると思います。

こんなちいさい錠剤なのに結構パワーがあるんですね。

 

ちなみに、2週間分づつで最長3ヶ月間しか

処方できないことになっています。

転売で問題になったり、依存性、

心療内科の薬や疾患との相性の悪さなど懸念されますので

適応は慎重に判断されるお薬になります。