あるところに枝垂れ桜を世話しているおばあさんがいた。

その桜のそれは見事な枝振りに、

毎年春は見物人で賑やかだった。

おばあさんには3人の娘がいたが、

おばあさんは嫁に出るそれぞれの娘に、

枝垂れ桜の枝を切り分けて渡した。

娘たちはそれぞれに嫁ぎ先の土地に枝を植えた。


それから何年かして、

おばあさんは病で床に臥した。

すると、元々の桜は

みるみるしおれた。

有名な桜を生き返らせようと、

皆が手を尽くしても木はうんともすんともいわぬまま枯れていった。


おばあさんは亡くなり、

春が来た。

3人の娘たちが嫁ぎ先に植えたあの桜は。


ホロリと

垂れるにはまだまだだが、
娘たちは言った。

ああ、お母さん…良かった、
また逢えたわ。




初めて
ツボ抜きイカをくださいって、
魚屋さんに言ってみた。
ドキドキ…
二杯、冷凍のイカを買った。

昔々のお料理、
真似してみたい。
イカを解凍している間に、
野菜を切って、炒める。
有るもので、
人参、白菜、玉ねぎ、じゃがいも、
しめじ、いんげん。
イカの下足と豆腐も。
それを解凍したイカに詰める。
ギューギューっ!
面白い、
イカって丈夫。
大事なものはしまいたくなる。
楊枝で綴じて、煮る。
味はめんつゆと水と生姜。

バンバンに膨らんだ、イカ。
面白いー。

煮えたら輪切りにして、
片栗粉であんかけにする。


イカの筒煮


出来た。
思ったより何とかなった。
やれば出来る。

またイカ買お。
ツボに入ったみたい、私。