ある日突然、自称 『ヘッドハンター』 なる人がやってきた。
『我々は現在、某国より日本に進出する準備をしております。』
で、なんで私なの?
私の質問は無視され、
『あなたのご活躍は、かねがね伺っております。』
『ぜひ、当社が日本に進出する際にはあなたの力をお借りしたいのです。』
とまくし立てるじゃないですか。
こんなことを言われりゃぁ、そりぁ気持ちがいい。
でも・・・、なんで私?
どこで私を知ったの???
次から次へと頭に浮かんでくる疑問。
でも、気分は悪くない。
私が恍惚の表情を浮かべたのだろう。
いきなり鋭く切り込んできた。
『ところでよかっぺさん、今の仕事に満足していますか?』
『はぇ!?』
こんな質問、受けたことがなかった。
考えたこともなかったか。
でも、今の私は知っている。
『普通、または普通以下』 のサラリーマンがこんな質問をされれば、即座に 『NO』 と答えるのだ。
すべてが順調に進んでいる社員なんて、トップランナーだけなのだ。
そう、ごくごくわずかなのだ。
こんな気持ち、底辺に落ちない限り、一生理解できなかっただろう。
『まぁ、満足はしていますが・・・。』
その言葉尻は濁っていた。
どんな仕事にも必ずといってよいほど不満がある。
給料が××、拘束時間が××、休みが××、上司が・・・。
この言葉尻をとらえる商売があるのだった。
(つづく)