今回登場する入居者は大人の女性。
年のころ、20台後半~30歳前半ってところでしょうか。
職業OL。某大手メーカー
年収350万円。
保証人・・・誰だよ、このおっさん!?
これが入居申込書のデータ。
でも・・・、君じゃこの物件には住めないでしょ。
だって、君の月収よりも高い物物件なんだからさ。
さすがにこんな場合、当社の入居審査では通らない。
他社が管理していた、入居者ありの売買物件だろう。
ところで、この人、ホンマに本人?ってぐらい、変身してた。
入居申込書に添付された写真の、あどけなさが残った少女の面影は微塵もない。
修繕箇所の確認を終え、世間話。
敷金60万円は全額没収。
足らない金額はオーナーさんにもってもらうから心配しないで。
(と言いつつ、本当は敷金だけで大儲けできる。)
話を聞くと、現在は保証人だった愛人と別れ、赤坂でキャバ嬢をやっているらしい。
短いスカートから伸びる、スラっとした長い脚。
私の好みではないが、いわゆる美人だ。
赤坂・六本木なら顔とスタイルだけでも十分食っていけるだろう。
私、お金ないんです。だから・・・。
な、なんだよ、いきなり。
色気で迫られても敷金は返さないから。
色気より出世だからさ♪
たぶん、彼女、私を見て 『こいつなら転がせる』 と思ったのでしょう。
だから直球をど真ん中に投げてきたのでしょう。
私自身、多分この日この場所じゃなければ きっと 確実に受けていたでしょう。
だって、香水がキツ過ぎるんだもん。
これが理由?
そうです。
これが理由です。
でも、今の私ならもっと図々しかったかもしれません。
『あ、ごめん、今日は忙しいのよ。土曜か日曜の夜なら空いてるけど、どっちにする?』
お互い暇そうな日を狙った二者択一でアポをとる。
『汚いものでも、よく洗って火を通せば大丈夫』 とお母さんが言ってました・・・。
(つづく)