「スパイ防止法」に高市首相「年内に検討開始」と前向き、国民民主党と参政党が法案…課題は山積み
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法案を提出する国民民主党の玉木代表(右から3人目)ら(26日午後、国会内で)
国民民主、参政の両党が「スパイ防止法」制定を巡る議論の活発化を狙い、積極的な動きを見せている。
26日には国民民主が衆院に法案を提出し、参政は党首討論で高市首相に法整備に向けた連携を求め、年内に検討を始めるとの答弁を引き出した。自民党と日本維新の会も議論を進めているが、実効性の確保や憲法との兼ね合いといった課題も多い。
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「この法案が(各党協議の)スタートになるのではないか。意見を集約していきたい」
国民民主の山田吉彦・安全保障調査会長は法案提出後、記者団に、他党からの賛同を得るべく協議を進める考えを示した。
提出したのは「インテリジェンスに係る態勢整備推進法案」で、スパイ防止策と政府のインテリジェンス機能の強化策を盛り込んだ。
インテリジェンス機関と同機関を管理する独立組織の設置や、外国の利益を目的とした活動の届け出制度の整備などを政府に求めることが柱だ。届け出制度を通じて「外国の干渉を『見える化』」すると掲げ、罰則規定は設けていない。
一方、参政は、罰則規定を含む法案を参院に提出している。内閣情報調査局の設置のほか、選挙などに不当な影響を及ぼす外国の行為への罰則の整備を政府に義務付ける内容だ。26日の党首討論で参政の神谷代表は「国民の情報や富を奪って国に損害を与える行為を止めたい」と首相に法整備を迫った。首相は「今年検討を開始し、速やかに法案を策定する」と応じた。
スパイ防止を巡っては、特定秘密保護法が2014年に施行され、機密保全の枠組みが整備された。しかし、国民民主幹部は「外国勢力の影響下にある人物の明確化や、偽情報の拡散を含む活動実態の把握には不十分だ」と指摘する。スパイ防止法違反には終身刑を含む重罰を科す国も多い一方、特定秘密保護法違反は懲役10年以下のため、罰則のあり方も論点だ。
これまで自民と維新の両党も党内議論を重ね、首相も前向きだった。
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