SLIM月面着陸、三菱電機がシステム開発…シャープなど国内企業の技術力が快挙に貢献
宇宙航空研究開発機構( JAXA
)の月探査機「 SLIM
」の挑戦成功で、月着陸を成し遂げた国に日本も仲間入りした。構想から20年余りに及ぶJAXAの研究開発と国内企業の高い技術力の連携による快挙だ。
![月面の傾斜地に着陸し、特殊なカメラで岩石を分析するSLIMのイメージ図=JAXA提供](https://www.yomiuri.co.jp/media/2024/01/20240120-OYT1I50141-1.jpg?type=large)
月のように一定の重力のある天体では、高度な着陸技術が求められる。
月面への軟着陸は、無人探査機では旧ソ連の「ルナ9号」が1966年、有人では米国の「アポロ11号」が69年にそれぞれ初めて成功した。
資源開発を視野に90年代以降、再び月面探査の機運が各国で高まったが、難易度が高く、海外の探査機で今世紀に入ってから着陸に成功したのは中国、インドの2か国のみ。昨年から今年にかけては日米露の宇宙企業も月面に激突するなどして、着陸を達成できなかった。
SLIMの着陸成功には、日本企業も貢献した。SLIMのシステム開発や製造は、人工衛星の開発などで実績のある三菱電機が担った。噴射で機体がぶれないように重心を考慮した構造の設計など、垂直降下やホバリングを用いるSLIMならではの精密さが要求された。
同社の開発責任者の小倉祐一プロジェクト部長は「携わったエンジニアの長年の努力や苦労が報われてほっとした。機体状況の確認が続くが、期待した成果が出せたと思われる。月探査に向けて事業を進める足がかりになる」と話した。
このほか、シャープやIHIエアロスペースなども参加し、日本の宇宙開発史に足跡を残す偉業をアシストした。