今年は「10年に1度」の危険な暑さ、熱中症搬送者の5割超は高齢者
夏本番を迎え、日本列島は危険な暑さに見舞われている。気象庁は今後、全国の広い範囲で「10年に1度程度」の猛烈な暑さになると予報し、専門家は熱中症への警戒を呼びかけている。

同庁が25日、九州北部で梅雨明けしたとみられると発表し、全国すべての地方で梅雨明けとなった。
今後、熱中症のリスクがさらに高まると見込まれている。
今夏の猛暑の主な理由は、日本上空付近を流れる偏西風の蛇行と、「エルニーニョ現象」の二つだ。平年よりも偏西風が北に蛇行し、南からの暖かい空気が日本列島に流れ込みやすくなり、晴れ間をもたらす二つの高気圧が日本上空で重なる「2階建て」の状態が断続的に発生している。
加えて今年は、南米ペルー沖の海面水温が高くなるエルニーニョ現象が発生。通常はフィリピン沖で水温の低下をもたらし、日本付近では冷夏となることが多い。しかし今回はフィリピン沖の水温が高い状態が昨冬まで続き、その直後にエルニーニョ現象が起きたことで、太平洋高気圧の勢力が保たれ、猛暑を後押ししている。
総務省消防庁によると、この2週間(10~23日)で搬送された人の55・7%を65歳以上の高齢者が占め、同庁はこまめな水分補給やエアコンの適切な使用を求めている。高齢者は体に熱がこもりやすく、のどの渇きも自覚しにくいという。
子どもも熱中症のリスクが高い。飲料大手のサントリー食品インターナショナルと気象情報会社「ウェザーマップ」が今年5月、小学校低学年程度の胸の高さ(地上80センチ)で日中の気温を測定したところ、大人の胸の高さ(同150センチ)よりも7・1度高かった。身長の低い子どもの方が地面からの照り返しを強く受けるためという。
熱中症に詳しい永島計・早稲田大教授(環境生理学)の話「子どもや高齢者は体温を調整する機能が弱く、注意が必要だ。健康な大人でも湿度が高い日本では汗がうまく蒸発せず、熱を逃す効率も下がる。炎天下での運動や作業をできるだけ避け、水分補給を心がけてほしい」