ダム決壊、ロシア占領地域は「壊滅的な状況」…水没600平方キロに
7日、冠水したウクライナ南部ヘルソンで助け出される高齢女性=AP
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7日のビデオ演説で、カホフカ水力発電所ダムの決壊で洪水が発生した南部ヘルソン州のロシア占領地域について、「壊滅的な状況だ」と述べた。浸水地域で救助活動をするウクライナ軍に対し、露軍の砲撃が続いているという。ウクライナ政府は赤十字国際委員会(ICRC)など国際機関に支援を要請した。
ゼレンスキー氏は8日、浸水地域を視察した。ウクライナ軍によると、露軍占領地域では露軍兵士が住民の脱出を妨害して先に逃げ出した。取り残された住民は屋根の上で助けを待ち、ウクライナ軍は軍事用無人機で飲料水などを届け始めたという。ゼレンスキー氏は独紙のインタビューで、露軍占領地域に向かったウクライナの救助隊が露軍から銃撃されたと述べた。
ヘルソン州知事によると、州内の水没地域は約600平方キロ・メートルに及ぶ。ドニプロ川東岸のオレシキ市の市長は8日、地元テレビに9人が死亡したと明らかにした。ロイター通信によると、ダムに近いノバカホフカ市は少なくとも5人が死亡したと発表した。今後、死者は増えるとみられる。
一方、トルコのタイップ・エルドアン大統領は7日、ウクライナとロシアの首脳と電話で会談し、ダム決壊の原因究明のため国際的な調査委員会設置を提案した。
ダム修復も得意分野の日本技術の出番だ。