今のところ墜落の原因不明が回答だが・・・・・・・。
原因次第では一触即発の戦争前段階とも言える。
陸自ヘリ墜落、防衛省に「強烈な違和感」を抱いた理由…中国海軍空母が航行するなか、なぜ「重大事故」は起きたのか
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今回の陸上自衛隊のヘリコプターの事故には不可思議な点がある。 記事『陸自ヘリ墜落への“不可解な疑念”…「第8師団長が搭乗」「事故と判明」防衛省の異例の発表で「深まる謎」』では、その前提について述べた。
【写真】護衛艦「いずも」が、「自衛隊の戦闘機」の代わりに載せる「意外なもの」 ここではその詳細を説明しよう。
早々に「事故」と表明
浜田靖一防衛大臣[Photo by gettyimages]
通常、自衛隊の指揮官は、着任したならば、まず自身を補佐する司令部を点検し、次いで隷下部隊を初度視察するとともに、担当区域の県知事、警察本部長などを表敬訪問する。
ここに筆者の疑念の第一がある。
着任わずか5日目の師団長が、担当警備区を超えて視察しなければならないほどの重要かつ緊急な事態とは、いったい何だったのだろうか。 むろん、師団長が担当警備区を超えて、ましてや、レッドゾーンである先島諸島を航空偵察するとなれば、陸上幕僚長(陸幕長)のみならず、防衛大臣にまで報告されていた可能性が大きい。
疑念の第二は、防衛省が早々に「事故と判明」と公表したことである。 森下泰臣陸幕長は、事故当日の21時頃、記者会見を開き、「宮古島北北西の洋上においてレーダーの航跡が消失した。
当該期の燃料枯渇及び発見された機材から総合的に判断し、航空事故と概定したと」と述べた。
森下陸幕長は「概定」と断っているが、行方不明から約5時間後に「事故」であることを公表したのだ。
一般に事故とは、「思いがけずに生じた悪い出来事」を指す。
航空事故に際しては、事故調査委員会を立ち上げ、状況を仔細に検討して、事故の原因を究明するという一般的な流れの中で、なぜ陸幕長が早々に事故と口にしたのか。
「沸騰」する第一列島線
そこには、「事故ではない」ことを払拭する必要に迫られた要因があったのではないかと考える。
ここで注目しなければならない情報が、防衛省統合幕僚監部は事故前日と当日にプレスリリースした4件の中国海軍艦艇の動向だ。
下は報道を元に筆者が作成した地図だ。
図を見れば分かるとおり、中国海軍の初の国産空母「山東」がバシー海峡を東進し、太平洋に抜けた。
それに合わせて、ミサイル駆逐艦とフリゲート、情報収集艦が日本の動きを牽制するかのように、先島諸島周辺海域で行動している。
なお、山東は2019年12月に就役、海南島の三亜市を母港とし、第5世代戦闘機に準ずるJ-15艦載戦闘機を30機以上搭載するという。
そして、この山東が4月5日、就役後初めて太平洋に進出した。
坂本師団長による、着任直後の警備区域を超えた航空偵察は、第一列島線のレッドゾーンがまさに沸騰する最中に行われたのだ。
筆者は、坂本師団長を乗せたヘリコプターの事故に中国軍は何ら関与していないと推察している。
とは言うものの、中国軍のこれまでの強硬姿勢を考えれば、あらぬ憶測を生まぬとも限らない。