米 中国念頭に 太平洋諸国への関与 強化構想 来週立ち上げへ
アメリカ、ホワイトハウスの高官は、海洋進出の動きを強める中国への対抗を念頭に、日本などと連携して太平洋諸国への関与を強化する構想を来週立ち上げると明らかにしました。
アメリカ、ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議のキャンベル・インド太平洋調整官は16日、首都ワシントンのシンクタンクのイベントで講演しました。
このなかでキャンベル氏は「われわれは来週、構想を立ち上げる。日本やオーストラリア、イギリスなどと連携し、健全で開かれた太平洋の維持というわれわれの希望を明確にできるようにする」と述べ、海洋進出の動きを強める中国への対抗を念頭に、太平洋諸国への関与を強化する構想を来週立ち上げると明らかにしました。
構想では、違法操業など太平洋島しょ国が抱える課題に対応するため、「MDA=海洋状況把握」と呼ばれる、衛星などを活用した海洋監視の強化などに多国間で取り組んでいきたいとしています。
先月東京で開かれた日米にオーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み「クアッド」の首脳会合では、インド太平洋地域の国々に対し、MDAに関する技術や訓練を提供する方針が確認され、共同声明に盛り込まれました。
太平洋島しょ国をめぐっては、アメリカと中国のあいだで影響力の確保を目指したせめぎ合いが激しさを増しています。
松野官房長官「関係国との連携を強化」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「アメリカのキャンベル・インド太平洋調整官の発言は承知しているが、外交上のやり取りについてお答えするのは差し控えたい」と述べました。
そのうえで「日本は太平洋島しょ国との間で長年の友好的な関係を有し、影響力を深めてきた。『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けても、要となる地域であり、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどとも連携してきている。引き続き、太平洋島しょ国のニーズを踏まえつつ、日本の強みを生かした協力を進めるとともに、関係国との連携も強化していきたい」と述べました。
林外相「日本の強み生かしつつ協力を」
林外務大臣は、記者会見で「日本は太平洋島しょ国との間で長年の友好的な関係にあり、協力を深めてきている。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても要となる地域で、私自身も先月上旬にフィジーとパラオを訪問し、重要性を改めて認識した」と述べました。
そのうえで「新型コロナの情勢次第だが、自由な往来や観光などができるようになればいろいろな交流や協力の在り方が出てくる。日本の強みを生かしつつ、地域のニーズに合った協力を、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドと連携して行っていくことが大事だ」と述べました。
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