新型ウイルス蔓延が発端となり、経済リスクの大幅下降が起きている。
米中も例外ではないが、韓国の落ち込みは尚厳しい。
遅すぎた武漢封鎖。新型肺炎パンデミックで死の淵に立つ世界経済
中国が新型ウイルスに敗北する恐怖
中国では春節(旧正月)を派手に祝うのが慣例だ。だが今年に限って人々は花火を上げに街に繰り出そうともせず、家にこもって過ごしている。肺炎を起こす新型コロナウイルスに感染するのを恐れてのことだ。
【動画】感染症はこうして広がる
ウイルスの「震源地」である湖北省武漢市への出入りが制限されたのを皮切りに、感染拡大を防止するために封鎖される地域は日々拡大、対象者の数は5000万人近くに及んでいる。1月27日には海外への団体旅行も禁止された。
確認された患者数は27日現在で2800人近くに達し、急速に増え続けている。死者は主に年配者で80人を超えた。春節の休暇を利用して旅行に出かける人々が感染をさらに広げてしまったのではとの懸念もあるなか、中国政府は2003年のSARS以来最悪の感染症危機を抑え込もうと必死だ。
中国国内ではチベット(地理的にも政治的にも孤立している)を除くすべての省で患者が発生している。アメリカは武漢に住む1000人近い自国民と領事館員を避難させるため、チャーター機を手配した。
<封鎖は効果を上げているのか?>
答えを出すのは時期尚早だが、あまり期待できそうにない。新型コロナウイルスによる肺炎だと診断されていない人もいれば、症状が出ていない人もたくさんおり、公式発表の数字は氷山の一角かも知れない。
だが最大の問題は、潜伏期間が長いことだ。このために、このウイルスの脅威が認識されるよりずっと前に──特に中国で帰省ラッシュが起こる春節を前に──多数の住民が武漢を出てしまった。彼らの行き先がどこだったかで話は大きく変わってくる。
封鎖の範囲はどんどん拡大しており、今では湖北省のかなりの部分が対象となっている。これは武漢周辺で感染が急激に広がっていることを示しているのかも知れない。外国の専門家の推計では、武漢では25万人以上が感染しているほか、大規模な流行があちこちで起きており、流行を抑え込むには感染の60%以上を食い止めなければならないという(その後、感染率の推計値が見直されて当初より低くなったが、まだ新たな数値を弾き出すには至っていない)。
封鎖そのものにも問題がある。通常の物流が断たれた状態で、住民に食料や日用品を供給するのは不可能でないにしても大変な作業だ。封鎖域内の品不足を防ぐには、軍とともに、アリババのような物流企業も動員されるかもしれない。武漢ではすでに物価は急騰、物資の不足が始まっており、対応が急がれる。
<人類存続の危機なのか?>
その心配はたぶんない。問題のコロナウイルスは怖いウイルスではあるが、現在のところインフルエンザのように世界的流行を引き起こすような性質は持っていない。専門家によれば致死率も比較的低い。
日中交渉の結果、
茂木敏充外務大臣は記者団に対し、武漢空港への移動手段など、中国側との調整が済んだとし、チャーター機の第一便を派遣するとともに、マスク、防護服等の支援物資を届けることを明らかにした。
新型コロナウイルス感染の急増を背景に、
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は27日に北京入り。感染の拡大防止に向け中国の当局や専門家と協議する意向だ。
結果は未定だが、由々しき大事です。