私は1軒の空き家を管理している。
時々虫干しの為、空き家の窓を開放に行くのだが、
座敷の真ん中でコウモリの死骸を見つけて持ち帰った。

我が家を新築する際に、この家に間借りしていた時、
真夜中になると部屋の中にコウモリが出没しよく部屋中を乱舞した。

直ぐに私の出番で、用意していた蝿叩きを構え叩き落した物だ。

コウモリはツバメ返しの技があり慣れないと打ち落とす事は適わない。
それを打ち落とす技を会得していた。
新築前の家にも、妻が経営していた学習塾にもコウモリが出没した。
その度に私の出番となり、打ち落とす技に磨きが掛かった。

この技は部屋を飛び交う蝿にも応用できたし、
逃げ回るゴキブリも一撃必中であった。
その頃、外敵に対して父親としての威厳は絶大であった。
17年前に新築した家に外敵は出ない。
と言う事は・・・威厳を発揮する場所がなく権威も失墜中である。
コウモリが飢え死にしていた理由は、餌となる虫の減少であろう。
40年ほど前は、夕方ともなると家の前でもコウモリが乱舞していた。
今は夜に網戸を開けても蚊さえ飛び込んでこない状態です。
雀も減り、町内で一斉草取りをしても虫も飛び出てきません。
沈黙の春が過ぎ、沈黙の初夏を迎えました。
以前はコウモリの死骸を坪庭のブドウの根元に埋めていました。
ブドウを経由してコウモリの命も私の体内に取り入れました。
霊感パワーの源?はそんな所から来ているのかも知れません。
冗談はさておき、沈黙の自然は不気味です。