最近の金属泥棒事件は目に余るものがある。
生き馬の目を抜くと言われた、江戸時代には考えもつかない事件の数々である。
ガードレールから道路の側溝の蓋まで盗まれる、昭和の時代には考えられなかった犯罪が横行している。
百鬼夜行は夜に出没するのだが、今では日中に堂々と盗んでゆく。
1トン以上の物までたやすく盗み出す、組織立った窃盗団が全国的な規模で蠢いている。
盗品の行き先はオリンピックを控えて建設ラッシュの中国へ向かうのだそうだ。
そこまで把握していながら日本警察、政府の対応は歯がゆいばかりである。
盗人たちが暗躍する陰には世界的な金属類の高騰がある。
日本鉱業協会(東京都)によると、ステンレスの原料となるニッケルは、価格が国際相場で上昇の一途。平成13年と比べ、今年2月末には7倍以上になっているうえ、2月だけで6回も史上最高値を更新した。 ニッケル以外の銅や鉛、亜鉛などの鉱物も軒並み高騰。最大の原因としてあげられるのが、建設ラッシュが続く中国での需要拡大だ。「中国の需要はここ3年ぐらいで倍増している」(同協会)
これほどまでに盗賊集団が横行できるのは、
個人情報保護法が浸透し、人の行いに関心を持たぬ社会になったことが大きい原因として挙げられる。
戦時中の隣組制度とまでは行かなくとも、
お互いが関心を持ち合う社会に戻すことが、犯罪を少なくできる早道である。
携帯電話が普及した現在、おかしいと思う行動に携帯カメラを向け知らせあうことで犯罪は大幅に少なくなるはずだ。
日本人の美徳であった、助け合いの精神を奨励する社会に戻す、行政指導が必要である。