河岸針を仕掛けていた頃の思い出 | よかもん人生のブログ

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夏至の頃になると小石原川中流域の甘木川では蛍の季節を迎えると共に、

自分を含めた悪たれガキどもは川遊びに夢中になっていた。

清流には魚が豊富で、川岸や中州の草原には牛が繋がれてのどかに草を食べていた。

蛍の餌となる小さな巻き貝の「川ニナ」は「ゴヒナ」と呼んでいた。

取り放題で醤油で煮付け、爪楊枝でほぐしだし、自然からの恵みを器用に食べていた。

川ニナを餌にするのは蛍の幼虫だけではないようで、鰻もナマズも鯉も鮒もハヤもいた。

勿論、石垣ドンコもオロノコもカマツカもサワガニまでもいた。

砂地にはシマドジョウが潜んでいて、ハツメ鰻もいた。

ヘビや蛙は、お馴染みさんで、バッタにトンボ、

蛍の乱舞する夕暮れ時ともなれば「河岸針」を仕掛けに行くのが楽しみであった。

但し見つからないように仕掛けしないと翌朝には全て人が持ち去っている。

自分なりの目印を付け
川岸の草陰や石の陰、水中の石などを載せて水中に仕掛ける。

針はナマズ針かウナギ針、餌は大抵ドバミミズ(太いミミズ)の一匹掛け、大物狙いである。

仲間内では一つの仕掛けで針は一つとルールを決めていたが、

延縄式に沢山針を付ける大人がいて見つけ次第糸を排除した。

仕掛けを入れた翌日は、朝早く起き出しご飯も待たず川へ一目さんとなる。

学校があるので毎日とは行かなかったが、大物が掛かった日の自慢話は仲間内の輪ができた。

魚が豊富な割に大抵は空振りで、仕掛けごと盗まれたり、餌だけ食い逃げされていた。

今の川は昔日の思いはなく、汚されて魚も少なくなっている。

嬉しい便りでは蛍が復活していると聞こえてきた。

自然回帰は人間に希望を与えてくれる変化である、昔の自然に帰って欲しい。