人には人生で染みついた匂いがある、香りとなるか臭気となるかは人それぞれである。
職業からは確実に匂いが移る。
自分では気が付かなくても他人にはなんの匂いか判断出来る場合も多い。
私も良く人に言われた。芳ばしい香りがするとか醤油の香りがすると・・・
父からは薬品の匂いが漂い、母方の祖父からは木材や柿渋の匂いがした。
それにタバコの匂いが混じり複雑な体臭になっていた。
病気になると誰でも病臭が出てくる事は経験済みのことと思う。
祖父や祖母が癌で倒れたとき嗅いだ匂いは、癌臭として独特の匂いを半世紀経った今も思い出す。
また昆虫が異性を引きつけるフェロモンと言う吸引物質が有ることは誰もが知っていることである。
捕食動物は血の臭いに敏感で、人間ではお呼びも付かない能力を持っている。
人間が磨いてきたのは金の臭いを嗅ぎ分ける能力である。
老若男女、古今東西、金の臭いに振り回されてきた。
金に貴賤はなくても、集め方使い方で善悪に別れる。
社会的地位に関係なく、金の力は、人格を左右するようで、聖職者と言えども例外はない。
金かたき、無けりゃ欲がり、有れば善、貯まれば底に、悪が芽生える。
体に染みこむ金の臭いを香しき芳香とするか悪臭とするかで、人の行く末は決まる。
願わくは、蓮の香りに浸りたい。