セバスチャン・サルガド.02。デジタルデータをアナログに | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 

昨ブログの続き。サルガドは2011年「GENESIS」の一環で、シベリア・北極圏近くマイナス30〜40℃で暮らすネネツ族を取材する。もちろん過酷なこの地をひとりで暮らすことはできない。取材に入ったサルガドはそこで自分ひとりが持ち込んだ荷物が、ネネツ族全員の荷物より多いのに気がつく。

 

「わたしたちは自分を守るために物財をやたらに増やして、おかげで生きるということを忘れてしまっているんだから。わたしたちはもう自然のことも他の人たちのことも見つめない。自分のコミュニティから自分のことを切り離している」ことは気がかりなことだと考える。

 

芒と紫蘇

 

白黒のイメージを好むサルガドは、ライカ35㎜判から中判サイズのペンタックス645(2004-08)に移ったが、市場の銀価格の高騰とともに、フィルムの乳剤に含まれる銀塩の量が減りグレーの階調が貧弱になったことから、デジタルカメラに転換しキャノンEOS-1D MarkⅢを採用。かつ、デジタルデータから四╳五判ネガフィルムを制作し銀塩プリントする。

 

なるほど、デジタルデータからフィルムを生成するのか。デジタルからアナログへ。これは忘れずに書いておこう。