泡坂妻夫。亜愛一郎役に中川大志を | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

中川大志

 

泡坂妻夫が1970年代に雑誌『幻影城』を中心に発表した亜愛一郎シリーズ(もう古いといってもいいだろう)短編ミステリを読んでいる。亜愛一郎は雲だの昆虫だの(自然科学系の無用と思われる対象を)撮影するカメラマンという設定で「色が白く、ギリシャ彫刻のように整った顔をして」いて

 

「黒っぽい背広を上品に着こなし、こげ茶の細かい縞のネクタイきちんとしめ(狼狽:p.60)」見た目は気品があるのだが、その言動はことごとく女性の期待を裏切るといった人物。この時代のナンセンスなスパイスを効かせ、大空に漂う気球での密室殺人といったとぼけた事件を解決する。

 

亜愛一郎の狼狽(1994年8月)創元推理文庫

亜愛一郎の転倒(1997年6月)創元推理文庫

亜愛一郎の逃亡(1997年7月)創元推理文庫

 

先ブログで紹介した北村薫『ミステリ十二か月(2004)中央公論新社』で触れられていて「そういえば読み残していたなぁ」と「まさか図書館にはなかろう」検索をかけたところ蔵書があるというので眠れぬ熱帯夜の気晴らしに。なお、本作を原作に『カメラマン亜愛一郎の迷宮推理(2013)』のタイトルでドラマ化されていますね。

 

主演は市川猿之助、週刊誌記者・佐藤江梨子の同伴カメラマンとして事件に巻き込まれる。押しの強そうな市川猿之助では原作無視のキャスティングですので、ここは現在売り出し中の(ギリシャ彫刻みたいな)中川大志くんに主演をお願いして、女性の期待をことごとく外すという難役に挑戦していただくことでいかがでしょうか。