萩原朔太郎:青猫
戸矢学の「ツクヨミ 秘された神(2007)」では、古事記にあるイザナギノミコトによる「三貴子誕生」のくだりで、天照大御神(八咫鏡)、月讀命(八坂瓊曲玉)、建速須佐之男命(草薙剣)の三神が誕生する。天照は日神、月讀は月神、須佐之男命はまつりごとをつかさどり、三神は三種の神器に象徴される。
戸矢学の「ツクヨミ 秘された神(2007)河出書房新社
そして三種の神器は天皇を象徴することでもあり、昨年新天皇ご即位の折には、これら三種の神器の譲渡はご即位の大いなるイベントでもあった。この時、八咫鏡は伊勢の内宮から、草薙剣は熱田神宮に祀られているのに対し、なぜか曲玉のみは宮中に秘されている。そしてこの曲玉ツクヨミの研究資料がほとんどない。
加えて、ツクヨミを祭祀する神社もまた少ないのだそうだ。戸矢学はこのツクヨミ(八坂瓊曲玉)こそ天武天皇ではないかと、大胆に推論を進めていく。古代研究は不確定要素が多いところから一定の結論を導きだそうすとすると、古代史ミステリの読むごとくで心震えるが、残念なことに確答は得られない。ゆえに面白いとも言えるだが… 戸矢学、ちょっとつきあってみたい。