エリーザベト・シュワルツコップ
久しぶりにエリーザベト・シュワルツコップが歌うR.シュトラウスのリートを聴いた。なんというのだろう。今まさに、咲き誇る芙蓉の花弁の極みというか、触れなばもろくも散ってしまいそうな。彼女のように世紀末のエロスとタナトスを顕現できる歌手はもはやいなくなってしまった。かな?
R.シュトラウス:最後の4つの歌(1965,68)EMI
デーメル「森のしあわせ」は、上流階級の乱脈が極まったといわれる世紀末ころに、こんな清浄な詩が書かれ作曲されたというのも不思議だが、そういった世上だったからこそ希求されたものかもしれません。まさにコロナ禍を傍目に、夜の音楽ともいうべき(世紀末的)シュワルツコップの歌声は素晴らしい。
シュワルツコップの歌声はYouTubeで聴けますので興味のある方はご視聴ください。シュトラウスやフーゴー・ヴォルフの歌曲はもとより、モーツァルト「フィガロの結婚」の伯爵夫人、シュトラウス「薔薇の騎士」元帥夫人など、上流の倦怠や懊悩を見事に表現してくれています。
Waldseligkeit, Op.49, No.1 (Dehmel