江戸川乱歩と映画 K-20 怪人二十面相・伝
江戸川乱歩の短編「日記帳」は ネタバレ▶若くして(かわいそうに恋も知らずに)病死した弟の日記を整理していたら、遠縁の美しい娘雪江と文通していたことを知った。弟は雪江に恋心を抱いていて、手紙に〈暗号化された告白〉を見つけたのだった。一方、雪江の返信にも弟に想いを伝える秘密が隠されていたが
二人はどうやら互いの〈暗号による告白〉に気がつかなかった。結果、病弱な弟は想い切るように断交すると、その後入院20歳という若さで死んでしまった。ところで、兄である私は弟の死の2ヶ月前に婚約し後に結婚したのだが、その相手というのが、あぁなんとその雪江であったのだ。
大正時代末に「二銭銅貨」でデビューした江戸川乱歩は探偵小説の牽引者として期待を集め乱歩もそれに応えたが、一方で平林初之輔などは、徐々にエログロ化する傾向を嗜めたりしている。この短編「日記帳」などは、瑞々しく(自然主義的な)展開で若く未熟な恋の顛末を描いている。佳品。