野崎六助の安吾探偵控。スマイルジャパン | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 picture diary.123 アイスホッケー女子日本代表

 

アイスホッケー女子日本代表による緒戦スウェーデン戦、スイス戦とも惜しかったですね。激しい肉弾戦もむしろ爽快で、思わず「殴り返せぇー」などと吠えてしまいそうに。老人の血も、時にたぎることがあるのでございますよ。って、怖いか?

 野崎六助:安吾探偵控(2003,05.06)東京創元社

 

図書館で偶然、野崎六助の「安吾探偵控」全3巻を見つけた。どちらかといえばミステリ評論で知られる野崎による〝本格ミステリ〟となれば、ちょっと気になる。しかも(われらが新潟県出身の)坂口安吾が主人公となればなおさらである。それに北見隆の装幀がまたすばらしい。

 

「安吾探偵控」初巻では、昭和12年、長年の恋人矢田津世子と絶縁した安吾は、京都は酒どころ灘で長編「吹雪物語」を構想しつつ悶々としていたが、矢田津世子似の女系酒蔵で起きた密室殺人事件に巻き込まれていく。灘のホームズよろしく、少年探偵役の〝小僧〟の語りで捜査は進む。

 

坂口安吾(1906 - 55年)

 

後に坂口安吾が発表する「安吾捕物帳」や「不連続殺人事件」をオマージュしつつ、安吾自身の屈託を折込みながら探偵安吾を造形している。が、成功しているとは、言い難いかしら。〝小僧〟による語りが回りくどく、テンポが絡まる。とりあえず初巻を読み終えたところなので、次巻の展開に期待したい。