小島烏水の日本アルプス | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 小島烏水:日本アルプス(1915)前川文榮閣

 

小島烏水(うすい)については浮世絵研究家&蒐集家としてお近づきになったが、登山関連の書籍もかなり出版している。掲載のものは大修館書店による翻刻版(1975)でオリジナルは私ごときには手にすることができないほどの高額本である。こちらの翻刻版は実は一冊100円で手に入れたのだけれど、いいのかな。

 

本分はアンカット版で読みながらペーパーナイフでカットしていく。オリジナルであればカットもならず眺めるばかりだが、まぁ複製本なので安心してナイフが入れられる。

 

 小島烏水:日本アルプス 第4巻 表紙,函

 小島烏水:日本アルプス 第4巻 見開き

 小島烏水:日本アルプス 第4巻 扉

 

表紙は織田一麿の千社札風の木版画の貼り込み、見開きは中澤弘光の木版、扉のクワガタは織田一麿の石版印刷である。他に杉浦非水なども造本に参加していて華やかなもの。

 

日本の登山史はよく知らないが、レジャーとしての登山は明治時代半ば外国人が登るのを倣ったもので、大正時代にはこうした本が出版されるほどに消化したということなのだろう。まだ読み始めたところなのだが〝風景論〟などに蟠っていて、気軽に山登りといった雰囲気ではない。

 

 小島烏水:日本アルプス 第2巻 見開き

 

第2巻の見開きは杉浦非水の木版画。右下に覗いている第3巻の表紙は橋本邦助の4度刷木版画である。といっても翻刻版なのでオフセット印刷ですが。複製本とはいえ天金が施された丁寧なものです。