プラトン社の雑誌「女性」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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 雑誌 女性(1922,1923)プラトン社
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 雑誌 女性(1923,1924)プラトン社

大阪のプラトン社が発行した雑誌「女性」大正11~13年までの4冊で、雑誌「女性」については以前に書きました。大正時代の雑誌を集めるというのは至難の業で、資金力にあかせてというのならともかく、できるだけ安価で手に入れたいとなるとほとどんど蒐集不可能な雑誌のひとつです。それでも、こうして4冊ほど手元にあるのは僥倖以外のなにものでもありません。永井荷風、泉鏡花、小山内薫、与謝野晶子、北原白秋などビッグネームが参集した金満雑誌で、後にそのため(採算度外視の放漫経営)で倒産します。

編集にあたったのは世紀末アール・ヌーボーやアール・デコの影響を受けた山六郎・(戦後の資生堂のデザインを担当した)山名文夫などで、ジャポニスムな意匠を形成したデザイナーたちでした。

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その山六郎の大量のカット下絵(らしき)スクラップ帳が手元にあり、以前からその真贋由来を探っています。実際印刷されたカットと手元の下絵は多少違っているものの、まず山六郎のものに間違いないようなのですが、今までそれを証明するすべがありませんでした。そこで思いついたのがスクラップに貼り込まれていた「大阪商船」「日本郵船」他の航路案内のパンフレットの版下絵などから、印刷屋さんをたどることはできないかということです。

雑誌「女性」の奥付には大阪の「中安製版印刷所」の記名がありますので、ここが第一候補になりますが、他に「大阪商船」航路案内パンフレット類の下絵がありますので、実際に印刷されたパンフレットに印刷所(中安製版印刷所)の記名があれば、ほぼ出所があきらかになります。また、スクラップには杉浦非水の「非水図案集(大4)」らしき下絵も貼り込まれていますが「非水図案集」の出版社の金尾文淵堂も大阪です。

航路パンフレット(大阪商船・日本郵船・近海郵船)は大阪の印刷物ですから、スクラップをこしらえたのは大阪の製版屋さんか印刷屋さん(の職人)と考えてもいいと思われます。ネット画像を検索したところ、下絵を元に印刷したと思われるパンフレット画像が数点見つかりましたので、気長に探せば当時ものの印刷物もヤフオクなどで見つかるでしょう。ただ印刷所の記名がね、あるかどうか?