

佐々木味津三:旗本退屈男(1931)文藝倶楽部
昭和6年「文藝倶楽部」9月号に掲載された「旗本退屈男」最終話・第6回で、挿絵はひいき筋の神保朋世。作品の内容が内容なのでケレン味たっぷりに描いています。佐々木味津三の「退屈男」は最初の3話までは虚無を漂わせていますが、以降はニヒリズムは抑えめに〝豪放磊落〟路線を走りはじめます。長期連載ということで、いつまでも暗澹たる主人公では困ると思ったのかもしれませんが、今となってみれば路線変更をしない方が良かったのかな?


ド派手な大衆娯楽作品に相応な挿絵を描いている神保朋世については幾度も書いてますので割愛致します。この号の「文藝倶楽部」には佐々木の他に、土師清二、額田六福、三上於菟吉、小泉長三といったラインナップで、なにより問題作の橘小夢(たちばなさゆめ)「本朝でかめろん」が連載中で溜息がでるほどにすばらしい。橘小夢は昨年弥生美術館で展覧会が開催されて以来の注目株で、ヤフオクでは最大の高騰株のひとつになっています。


こちらは次号10月号の折込予告で〝なんとも〟な味わいがあるので掲載します。とはいえ(明治時代よりも)昭和戦前の「文藝倶楽部」はなかなか手に入らない雑誌のひとつで、皆さまお近くの古書店で見かけたら迷わず買ってしまいましょうね。その本を「みずすまし亭」まで送ってくださったらどんなに喜ばれることやら。なんてね。