


Walter De La Mare:Mr.Bumps and His Monkey(1942)U.S.A
ウォルター・デ・ラ・メアによる絵本『バンプ氏と猿:Mr. Bumps and His Monkey』船乗りバンプとサルの友だちジャスパーの交情を描いた中篇。挿絵を担当したラスロップが3頁の序文を寄せ、フルページの6点のカラーと8点のモノクロの挿絵、題扉頁や各章の飾りのカットを描いている。(前の持ち主によると)ドロシー・P・ラスロップ(Dorothy Pulis Lathrop;1891~1980)は米国のすぐれた女流挿絵画家・児童文学者で自身の作品も多い。ニューベリー賞やコールデコット賞も受賞しているが、日本ではあまり紹介されていない。
ちょっと淋しげで夢幻的な画風が特長で、自作「妖精のサーカス」が代表作とされる。「三匹の猿王子」などウォルター・デ・ラ・メアと組んだ作品が幾冊かあり、本書はその1冊で米国版のみの出版(だそうである)。太平洋戦争の最中にもかかわらず布装幀の美しい装幀で、柔らかなオフセット印刷が絵本らしい優しい雰囲気を醸している。戦時中、出版のあてもなく『ノンちゃん雲に乗る』を書いていた石井桃子と、つい比べてしまう。
