辻森秀英「上田秋成の生涯」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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 マルチナ・ヒンギス

マルチナ・ヒンギスは弱冠16歳で全豪オープンとウィンブルドン選手権のシングルスで優勝、天才少女と騒がれる。20代前半で故障し引退した。本日殿堂入りのニュースが入りましたが、まだ32歳なんですね。当地長岡にも(ヨネックスの縁で)テニスクリニックにやってきました。とても感じのいい人らしく地元関係者に好印象を残していかれました。その折ポスター類の制作をやったのですが、そのポスターにサインをもらっておくのでしたね。まだ髪をショートにしていた(少女の)頃を描きます。

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 辻森秀英:上田秋成の生涯(昭17)有光社

「雨月物語」が出版されたのは上田秋成43歳の年、書かれたのはもう少し前のようで、魂魄もののけと同居した時代の作品です。まことに自信家で人に交わらず(高踏的で)自負心が強い“引越し魔”というところでしょうか。小説家として世に出ましたが「雨月物語」以降は、国学の研究家とも歌人とも、高等文人にして世捨て人かな。「雨月物語」の最終編「富貴問答」では、世間では清貧こそ貴しと説くが、金儲けは手段であり人格判断の種にしてもらいたくないと(天の邪鬼ともとれる)持論を述べる。

上田秋成の詠歌から

 世の中をさくればおのづから塵なき庭の松のしたぶし

したぶし(下伏し)松の樹の下で寝るくらいしかすることがない?

 我よりも貧しき人の世にもあればうばら枳殻ひまくぐるなり

うばら(茨)枳殻(からたち)の、ひま(隙)を潜るなり。カラタチの隙間から泥棒に入られた秋成は「俺より貧しい奴がいる(のは世の中が悪かろう)」と詠い、泥棒が穿った壁を窓に造りかえて「盗窓」と名付けた。この負けず嫌いの秋成の挿話に対し、世間の人は「ばかばかしいことをなさる人だ」と言ったとか。シンパシーは感じますが、やっかい迷惑な隣人タイプですね。中澤弘光による木版装幀本と見て迷わずネット落札、1000円でしたが、いいのかな。