子母澤寛「二丁目の角の物語」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
みずすまし亭通信-二丁目
子母澤寛:二丁目の角の物語(1963)

大正時代半ば、北海道を夜逃げ同然で逃げ出し上京した子母澤寛は、学生時代の同級生を頼り銀座二丁目の角の商社(みたいな)に就職するが、給料がでたことがない。同僚も変わっていて、昼飯にはツケで店屋物をとっては踏み倒す。やがて倒産。新たに就職した読売新聞も経営難で人事刷新でいったん首になるが、新米ということでかろうじて再雇用される。それでも依然貧乏のまま。そんなこんなで極貧の生活を続けるのだが、人情があるようなないような、それでもなんとか暮せた時代だった。

子母澤寛の穏やかな貧乏話は癖になる。この文芸春秋社版の装幀は懐かしい伊丹十三の挿絵です。最初に読んだ本が『女たちよ!』でしたかね。ビルの屋上から飛び降りたときは、暴力団絡みの他殺、浮気がばれての自殺説といろいろ言われたのですがね。さて、気候は陽気に浮かれたり今日のように雪が舞ったりで、春のような、いまだ到らずという気もするし。地震による避難民の皆さまも当地長岡に来られて寒かろうというので、仕事でつきあいのあるお蕎麦屋さんが温そばをふるまわれるそうです。