上田敏「現代の芸術」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
みずすまし亭通信-上田2928
上田敏:現代の芸術:大正11年7月改版

訳詩集「海潮音」上田敏による講演集「現代の芸術(実業之日本社)」大正6年発刊、11年7月改版です。「海潮音」を除けば上田敏の著作は珍しいので、眼につくとヤフオク入札しています。上田は大正5年に亡くなっており、巻頭に森林太郎の漢文による題辞が掲げられています。この講演集は欧州からの帰朝後2年、明治43年10月から翌年2月まで、京都帝国大学での特別講演会を筆記したもので、詩、小説から絵画、音楽までとりあげられています。

音楽はメロヂイいわば鼻歌式と、リズムは”かっぽれ“(のようなもの)で構成されているのだと説明されています。現地でベルディ「リゴレット」を聴かれた様子で「テノルの歌い手カルソオ」がベネチアの歌劇場で非常な喝采だった。イタリア人はメロディアンだと断ぜられる。海外事情はこうして鼻歌やかっぽれに置き換えられて膾炙していったんでしょうね。さて、困っとことに大正6年版「現代の芸術」をもう一冊入札してしまいました。装幀が違っていたので、うっかり。二冊はいらないぁ。

$みずすまし亭通信-上田2923
上田敏:現代の芸術:森鴎外題辞