鏑木清方「明治の東京」と式亭三馬「浮世床」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
なかなか仕事のエンジンがかからず、鏑木清方の随筆集「明治の東京」をぱらぱら読んでいたら、明治時代の東京語についての短い文章が載っていた。清方の義父は、自宅では目下のものには「おいら」と言い、目上には「わたくし」言ったそうだ。「わたし」や「あたし」は他のものに使わせなかった。江戸時代の巽(たつみ)芸者も「おいら」と言っていたそうで、字面と違って上品に感じられたものだ。「おかみさん・奥様・ご新造」とは言ったが「奥さん」は明治に入ってから、などと書いてある。

式亭三馬「浮世床」などが江戸言葉をリアルに伝えているそうだ。正月休み酒毒に冒されつつ、ちょうど冒頭を読んでみたばかり。男風呂・女風呂の雑談風景を面白おかしく描いているが、内容が分からぬでもない。露伴校注の古本なので必要以上に読みづらいのかも知れないが、時の狭間に落ち込んで江戸時代にワープせぬとも限らないから、心配性な人は「浮世床」は必読本になりましょう。面白くない? はいはい。パイ一(一杯)、ハンチク(半端もの→役立たず)は明治の言葉でありました。

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昭和24年発行「キング」誌上に新連載、川口正太郎・岩田専太郎コンビによる「紅夜叉(くれないやしゃ)」をご紹介します。ひいき筋から少し外れるのですが、とにかく多作で息の長い挿絵師でしたから、いつでもどこでもぶつかります。ついつい来客を相手にかまけてカメラ散歩もならず、相変わらずものでお茶を濁ごすことに。せっかくなので大きめな白黒写真に致しましたので、興味のあるかたはクリックしてご覧下さい。

おそば屋さんのパンフは昼に色校正を終えて印刷へ、再版もののO社パンフはM印刷さんに届けていただいて楽を致しました。さて、本格始動は小正月明けでしょうかね。