とつぜんですが市役所で働く職員は大きく事務系と技術系の職員に分かれます。

技術系職員というのは、工業系の学校を卒業し、建築士や土木技術士(?)などの資格を持った方で、建物を建てたり土木工事を発注する際に、設計などの業務を主に担当する専門知識を有した職員です。

しかし市役所の人事異動では、そういった職員が100%その専門知識を生かせる職場に配属するとは限りません。たとえば建築屋しかいない課に配属になれば、その建築屋である中の誰かが本来なら事務屋が担当する経理事務を担当しなければ支払い手続きが進まないからです。

そういった事情から、本来の業務スタイルである専門知識を有しながら事務屋の担当範囲までカバー出来るため、よく事務屋の間では技術屋は『何でも出来る凄い人たちだ』と言われています。

だがしかし、僕はその定説に断じてNO!を突き付けなければなりません。

先日の話です。

課宛のメールに監査事務局から照会文章が届きました。内容は税外債権の調査ということで、簡単に言えば税金以外の収入(歳入)を取り扱っていますか?取り扱っている場合は直近3年間の収入(歳入)額や、該当債権の請求や時効の根拠になる法令なんかを答えてねというものです。

そして、うちの課は2つの係構成で、僕は事務職員で構成される2係に属していまして、反対の土木職員で構成される1係の方で受託事業をやっているため、この照会文章に回答してもらうよう「○○事業が該当するはずですので回答をお願いします」と付記し、照会メールを転送しました。

それから数日経ち、1係のAさんが話しかけてきました。
「ヨイショさん、この照会全然意味わかんないんだけど…」
「毎年○○事業で収入あるじゃないっすか。それのことですよ」
「それは分かるけどね、この債権の種類って何?」
「え?なんでお金もらってるんすか?」
「請求書送って」
「うん…なんで請求書送れるんすか?」
「うーん…○○事業が終わったから?」
「じゃあ、なんで○○事業やったんすか?」
「契約したから?」
「そう!契約って債権じゃないですか」
「そうなの?」

公務員って確か法令遵守…でしたよね。自分が業務で請求するお金について、どういう法律に基づいているか知っておくって基本中の基本だと思うんですけどね。
そもそもこの人、契約や請求っていうのが法律に基づく行為だって分かってもいない。

技術屋さんって案外こんな人が多いと僕は思っています。

確かに事務処理そのものは出来るんですけど、法律・条令・規則などの単語を見た途端に「ワカラナイ」と言い出すんです。
前例踏襲と先輩からの教えに従順に従う理屈抜きの事務処理のスペシャリストといったところでしょうか。
現場作業の技術継承なんかはそういうやり方でしょうから職業病とも言えるのかもしれませんが、法令遵守の公務員ですからね。危なっかしすぎます。

そしてAさんとの話は続きます。

「そうなんです」
「で、何の法律?何条?」

そんなもん事務職員だって全部の法律暗記してるわけじゃないんだから探さないと分からんわ!つーか法制関係の大学でも出てなきゃそこら辺の知識は事務も技術も一緒だからな。そもそも俺高卒だから知らんわ。

「もうそこらへん俺が調べるんで実績額だけ書いてデータください」
「マジ?良い?じゃあお願いね。」

もう1から100まで面倒見てたら時間がもったいないので僕が回答を作ることにしました。といってもネットで民法なり商法なりから時効や督促の条文調べて転記するだけなんですけどね。なんでそれが出来ないのか。

そんなやり取りから1週間くらい経った頃、もう僕は照会文章の存在を完全に忘れていたんですが「これ、あとお願いします」とAさんからメールされ、そういえばあったなとメールを見ると…

「間に合わないじゃないっすか!!!」

提出日はその日。課長は休み。決裁が終わらない。ふざけやがってAの野郎!!!

「シシシ」

Aはほくそ笑んでいました。

Aの野郎はいつも提出期限を守りません。あー死ねば良いのに。つーか絶対復讐してやるからな。

てなうわけで(どういうわけですか?)技術職の方は確かに本能的な事務処理に関しては確かに有能ですが、根拠法令などは法令アレルギーなのかと思うくらい全く読みません。
よって、公務員という立場上は極めて危ない諸刃の剣のような方々だと僕は思っています。