私達は私が M さんの店で一目惚れした、ステキな抹茶茶碗を2つ携えて
きました。
オリーブグリーンの珍しい高麗青磁茶碗と、優しげな南宋の平茶碗を出して、
料理の合間に眺めてながら色々と話していました。
それを見ていたのか、私がお茶室を出てお勘定を済ます間に、支配人の
K さんが 「 お若いのにセンスの良い品物を扱ってみえるのですね。」 と
言いました。
「 古美術店のオーナーをお連れします。」 と言ってありましたが、まさか
M さんのように若い古美術商とは思わなかったのでしょう。
驚いた様子でした。
更に K さんは 「 息子さんは焼物等にすごくお詳しいですよね!」 と
言ったので、 「 今度若い現代作家の器と、古物の花器の店を始めます。
物件がなかなか見つからなくて ・・・・ 」 と 答えました。
M さんがお茶室から出てきたので、紹介しようとすると、「 料理長の Y が器が
好きなんですよ。 」 と 料理長の Y さんを呼んできました。
お互いに名刺を交換してました。
私が 「 柔らかい水羊羹に驚いてみえましたよ 」 と言うと、
M さんも 「 あんなに柔らかい水羊羹は初めてでした!」 と言っていました。
すると Y さんが 「 気候によっても固さが微妙に変わるのです。 摂氏何度と
決めて作るんです。」 と 裏方の苦労を明かしてくれました。