『 南方美術店 』 へ瑠璃の壺を見に行った折、南方さんが新しく
仕入れたという三つの抹茶茶碗を差し出しました。
そのうちの一つ、薄作りの高麗のオリーブグリーンの平茶碗に一瞬で心を
奪われてしまいました。
手に取ってみると、滅多にない素敵な色合いといい、緩やかなカーブの薄手の
感じといい、私の好みにピッタリでした!
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以前、自分で ” 緑 翆 ” (りょくすい) と 名付けた、やはり
『 南方美術店 』 で出会った抹茶茶碗を買って以来、南方さんに 「 夏の
替え茶碗は欲しくないのですか? 」 と言われても
「 ” 緑 翆 ” だけで充分満足しているから、必要ないわ。」 と かたくなに
断っていた私です。
でも、思いがけない ’ 出会い ’ というものは突然あるものなん
ですね!
瑠璃の壺しか買う持ち合わせがないのに、私は 「 どうしても今日、この茶碗
で抹茶を飲みたい ・・・・ 」 という強い衝動にかられました。
迷いは全くありませんでした。
今までにも洋服だって、一度に2着買ったことはあまりありません。
南方さんに 「 普通の女の人は洋服の方を選びますよね。 」 と 笑って
言われました。
一度に瑠璃の壺と、オリーブグリーンの高麗青磁の平茶碗を買うなんて ・・・・
初めてですが、私にとってはかけがえのない一期一会だと思いました。
早速、箱に入れてもらい、家に持ち帰り、” さまざま桜 ” という
お干菓子を、昨年京都で買った黒地に小さな山桜の模様が書かれた塗りの
中皿に並べ、買ったばかりの平茶碗で抹茶を点てると、抹茶の緑が映えて、
いい感じでした。
思った通りの美しい、私好みのステキなお茶碗です。
しばらくすると南方さんからメールがあり、「 帰られた50分後に瑠璃の
壺が見たい ・・・ と言って訪ねて来られたお客様がいらっしゃり、その上、
大のお茶碗好きで2点お茶碗をお買い求め頂きました。
もしあの場で決めて頂かなかったら、きっとそのお客様に先を越されたのでは
ないかと思います。
個人的にもとても気に入っていた夏茶碗、とても喜んで頂けたので嬉しい
です。 是非これからの季節にお愉しみ下さい。」 と ありました。
毎日、このオリーブグリーンのお茶碗で抹茶を点てられると思うと、心が
弾みます。