質素をむねとした父 |     みやこわすれの料理・つれづれ記

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  伊勢神宮の御遷宮のドキュメントで 「 神様は質素だった・・・」 とありました。


伊勢生まれ・伊勢育ちの父のことを思い返すと、父も 「質素を旨としていたな」


と思い出しました。



当時地方では一家に車が2台が当たり前という時代に、父は 「テクシーが一番!」 と


言って、移動は足早の歩き走る人かもっぱら自転車でした。


父はどこへ行くにも、犬の散歩用のジャンバーとサンダルで通しました。


(三重県内)

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  私が帰京する時、子供2人と荷物が多いので駅までタクシー車を使っても


乗車拒否した歩きの父の方が信号待ちするタクシーより早く駅に着くことも


しばしばでした。


そういえば、銀行の支店長時代に毎朝の黒塗りの迎えの車を 「無駄だ!歩いた


方が早い!」 と一度も乗らなかった父でした。・・・



  年末には必ず、自分で屋根の上に登って煙突掃除をするのでした。


朝は、ご飯 ・ 味噌汁 ・ ちりめんジャコ ・ うるめ ・ 白菜の浅漬け (父が自分で


買う 「大安」 のでした) ・ 海苔でした。


海苔は母に焼かせず、毎朝自分でこだわって焼いていました。


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  ネクタイは銀座の 「田屋」 のセールを愛用していました。


東京でパーティーがある日は必ず私を呼んでネクタイを選ばせるのでした。


父は常々 「内面さえ充実していれば、セール品がセールに見えない。」 とか


「デパートへ全部預けてあると思え。 そしたら無駄な買物をしなくて済む」 と


言っていました。


確かに父が 「田屋」 のセールのネクタイをしていると、上等のネクタイに見え


ましたもの・・・・


  私も普段使いに洒落たデザインのイミテーションのパールのイヤリングを


愛用してますが、誰しも本物だと思うようです。


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  父は反面とても愛情深い人でした。


毎晩のように大阪から疲れて帰宅しても、私が帰省中で子供をうちわであおぎ


ながら (父の方針でクーラーがありませんでした) 寝かしつけていると、必ず


父が 「僕が寝かしつけてきてやる」 と言って、夜ごとバギーに赤ちゃんをのせて


1時間~1時間半静まりかえった町を回ってきてくれました。


今考えると、孫の顔を見ると仕事の疲れも吹き飛んで、父にとってかけがえの


ない満ち足りた時間だったろう・・・・と思います。


ちなみに、母は育児に非協力的で1回も寝かしつけてくれたことはありません。


子供を寝かしつけて帰ってくると、今度は子供が寝ている間に (動いていると


危ないので) 髪を切るのが父の特技でした。


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  ここ数年、さっぱりとした和食しか受けつけなくなった私は、生涯和食しか


口にしなかった父に似てきたな ・・・・ と我ながら苦笑してしまいます。