円空仏 |     みやこわすれの料理・つれづれ記

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  三週間程前に、「日曜美術館」の 「円空 飛騨巡礼の旅」という番組を


見ました。


300年以上前、江戸時代に、木に宿る命を彫り出そうとした男がいました。


江戸時代に、12万体の仏像を彫った”円空”です。


彼は、生涯を旅に出て、人々の為に仏像を彫り続けました。


 

  私も6年前、上野の東京国立博物館で140余体の「仏像展」を見に行き、


そこで”円空仏”に初めて会いました。


他の静かな仏像とは違い、大胆・素朴でありながら、その圧倒さに立ちつくし


ました。


梅原 猛 (哲学者)をして 「 円空はピカソより300年前に、こういう彫刻を


作ったことは驚異的 」 と言わしめました。



円空は、1632年に美濃の国に生まれて64歳で亡くなるまで、12万体の


仏像を彫りました。


幼い頃、長良川の氾濫で母を亡くし、その菩提を弔うため、仏門に入ったと


言われています。


32歳の頃、仏像を彫り出し、30代半ばで円空は東北から北海道を巡る


旅に出ました。  


当時、諸国を巡りながら布教をすることは、固く禁じられていました。


しかし、北海道の有珠山の大噴火があり、円空は人々の為に仏像を彫った


との事・・・。  慈愛に満ちた異端仏です。


                                 ■□■□■□■□■□


  アレックス・カー氏(東洋文化研究家)は、30年前から”円空”に強く惹かれ


てきたアメリカ人です。


20才の時、徳島の山里で古民家を購入。


自然と伝統的な暮らしを肌で感じながら、独自の視点で日本文化を見つめた


著書を発表。


司馬遼太郎からも高い評価をされたらしいです。


古美術の収集にも熱中する中で、”円空”に出合い衝撃を受けたそうです。


「ソロモン流」の番組で彼の生き方を見て、独身だと知り、日本文化に深い


理解を持ち、かつ自由な発想、生き方をする彼に惹かれ 「私は彼と結婚したい


わ」 と言った私に、息子が「お母さん、重婚になるだろう」と突っ込んできました。


・・・・・ガーン・・・・・


 

  カー氏は、”円空仏”をたどって飛騨へ旅をしました。


1200年の歴史をもつ千光寺に円空は泊まり、60体の仏像を残しました。


”三十三観音立像”で白州正子がその美しさに感嘆したといいます。


円空の円熟期の作で、「 木を彫った時の木目をそのまま生かした円空なら


ではの観音様で、信仰心と木が一体となって生まれた仏の姿だ」 とカー氏は


言います。


     「 皆人は仏に成(なりぬ)と願いつつ


          まことになれる けさの杉の木 」   (円空の歌)


”円空”は孤独な放浪者で、仏教の慈悲の精神で人々に本当の仏教のあり方


を示しました。


又、47歳の時、山の中で滝に打たれていた時に山の神の声が聞こえたという


それまでにない体験をしました。


     「 是在廟(ここにびょうあり)  即世尊(すなわちせそく) 」  (円空)


この世に存在する全ては、仏の化身である。


自分が信じる仏の教え、何者にもとらわれず、掘っていけばいいという円空の


決意でした。


”円空”は、又農民の為に安らかな仏像を彫った人です。


正宗寺の住職は、ボロボロにすり減った”円空仏”を大事そうに抱えて


「 幼い頃から、ここの”円空仏”と触れ合って育ちました。


遊び道具がない時代に、子供が円空さんを川に浮かべれば面白いんじゃない


か?と言い出し、川へ円空さんが来たように思った 」 と言います。


又、”円空”は、木端仏(こっぱぶつ) (わずか数センチの仏像)を余った木くず


から作りました。


どんな小さい木のかけらにも尊い命が宿っていると円空は信じていました。


 

  カー氏は、岩の下で仏像を彫った円空を想い、「 石と木々の緑、岩を打つ


水の流れ この自然が日本の原点だと思う。一つの神秘的な観念は、やはり


宗教的観念、美的観念を生むでしょう 」と言ってました。


 

又、ある農家に泊まった円空は”円空仏”を残し、「 囲炉裏の煙で黒くなって


何とも言えない味になった仏で、手に取って見られるというのは円空の世界。


触られて抱かれて、この仏像は光ってきた 」 とカー氏は言いました。


  

  清峰寺に、珍しい ”千手観音菩薩立像” があり、全ての人々にあまねく


差し伸べられる救いの手をあらわしています。


                      (「日曜美術館」の放送を参考にしました)


   *  『 素朴な自然そのものの美  飛騨の円空 』


         1月12日~4月7日


          東京国立博物館(上野)   で開催されます