M 叔母さんのいる病院の前は、赤く紅葉した桜の木々で囲まれていました。
思いがけない神様からのプレゼントでした。
”もみじ狩り”といえば、まだ独身の頃に、M叔母さんとM叔母さんの番頭
さん夫婦とで京都の高雄の神護寺へ行ったことを、昨日のことのように
懐かしく想い出されます。
M叔母さんは、着物姿にショールを掛けていました。
私は、空色のタートルネックセーターにグリーンのレインコートを着て、頭には
空色のベイズリー柄のスカーフで長い髪をまとめていました。
山深い所で、とても冷たかったです。
でも、若い私と、冬でも広い家や庭を裸足で走り回っているM叔母さんは健脚で
長い石段を軽々と上がった記憶があります。
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とは思えない美しさでした。
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M叔母さんと私は、高雄名物だという ”もみじの天ぷら” をちょっと食べて
みました。
衣が厚ぼったくて、もみじが可哀そうな気がしたものです。
紅葉を堪能した後、私の知ってる渡月橋の中ほどにある料亭 「錦」へ
行きました。
「錦」では、”桜宿膳” という二段弁当を頂き、別の竹の器には鯉の洗いも
入っていました。
栗のまわりに素麺をいがに見立てて揚げたものが、季節感もあり美味しかった
です。
あれから、いろいろ京都の紅葉を見ましたが、M叔母さんと見た高雄の
紅葉ほど見事だった所は、なかったように思います。
主人と付き合いだした頃も、懐かしの「錦」で ”桜宿膳”を頂きました。
その後、M叔母さんと河原町の くし専門店 「かづら清」 へ行き、着物を着て
髪をアップにした時のかんざしを選んでもらいました。
朱の塗りに家紋の金と銀の梅が付いたものです。
今でも、大切にしています。