広尾天現寺 「青草窠」 のお茶室でのお食事です。
床の間には白の秋明菊が生けられていました。 秋明菊は、うちの庭に何度
となく植えましたが根付きませんでした。
とても楚々とした風情のいいお花なのに・・・・・
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今回の献立は、はじめに ”のどぐろの焼きびたし (胡瓜の千切りと玉葱の
お浸しがのっています)” が 江戸時代の御菩薩(みぞろ)焼の鉢で出されまし
た。 芭蕉柄の珍しい器でした。 のどぐろは脂の多い魚ですが、胡瓜などで
椀物は、抹茶色の萩の絵柄のお椀に ”松葉ガニの真薯(しんじょ)” です。
かにしんじょと聞いて箸を入れてビックリ! ほとんど! 松葉蟹 !
ふつう、魚のすり身に蟹が少し入っている程度ですが、とんでもない
椀玉の九割が庄内で獲れた松葉ガニで覆われていて、驚いたこと・・・・
続いて、いちょうの形の塗り皿に ”栗とむかごの飯蒸し”。
むかごって苦手なんですが、初めて美味しいな、と思いました。 毎回飯蒸しが
出るのですが、いつもおいしいです。
そして八寸。 二段重ねの四君子(しくんし)の菓子入れに、”くらげとしめじ
の胡麻酢和え” ”柿なます” ”茄子のふくめ煮” ”海老の大葉巻揚げ” 月に
見立てた”数の子卵” ”あわ麩田楽” など、秋らしく丁寧に作られていました。
次に、織部の馬上杯に ”新潟・栃尾のうす揚げと花わさびの炊き物”。
ぴりっとした花わさびがさわやかでした。
そして、この日一番印象に残った ”海老芋の煮含め”。
シンプルに京都の海老芋だけを薄味のお出汁で煮たもので、そのとろける美味
あえて海老芋だけで料理を抑えたところに、ここの料理長のセンスの良さが
伺えました。 明・古染付の網目の鉢に、芋一つ。 潔いですね。
前回も、”焼き無花果(いちじく)” を何の出汁もソースものせずに出されていた
ので、素の味をとことん引き出すことを考えているようです。
締めは、”しめじご飯” ”赤出し(味噌少なめでおいしい)” ”漬物” でした
が、ご飯はびちょびちょで、ガス釜で炊く家のご飯の方が遥かにおいしいと思い
デザートは 焼きたての”くず焼き”で、卵とゆり根と葛でやわらかく甘くなく
仕立ててあるもので、とてもおいしくいいお抹茶と共に頂きました。
”しめじご飯”以外は絶品でした。
とにかく余計な事はしない、潔い丁寧なお料理でした。
今度は二月のわたしの誕生日の頃に伺おうかな・・・・・。 **************