オキシトシンが老化したマウスの筋肉修復に効果をもたらす
(Oxytocin Helps Repair Aging Muscle in Mice:
ラエルサイエンス 6月11日英語版配信分)
米国カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、子宮収縮ホルモンであり最近では社会関係を円滑にする愛情ホルモンとしても知られるオキシトシンが、健康な筋肉の維持、修復に必要であることを、マウスを用いた動物実験で証明した。サルコペニアなどの治療に効果が期待されるという。
研究チームは、高齢マウスでは、血中のオキシトシン濃度が低下し、また筋肉幹細胞のオキシトシン受容体数も低下することを発見した。
高齢マウスの皮下に4日間オキシトシンまたはプラセボ(対照)を注射したのち、筋肉に実験的に損傷を与え、その後5日間さらにオキシトシンまたはプラセボを注射した。
その結果、オキシトシン投与群では、対照群に比べて有意に筋肉の損傷の治癒が良好であったという。
「オキシトシンの作用は迅速である」と筆頭研究者のエラブドは語っている。「高齢マウスでの筋肉の修復速度は、若齢マウスの80%程度だった。」
興味深いことに、若齢マウスにオキシトシンを投与しても筋肉回復が早まることはなかったという。
「好都合なことには、オキシトシンは老化した幹細胞の能力を高めるが、制御不能になることがないようだ」と主任研究者のコーシンは語っている。
研究チームではまた、若齢マウスでオキシトシンの効果を阻害すると急速に、あたかも高齢マウスにでもなったかのように、筋肉修復能力が低下することも発見した。
オキシトシンの遺伝子を欠損したマウスは、若齢のうちは、正常マウスと筋肉修復に有意な差異は見られなかったという。しかし、成獣になると、遺伝子の欠損したマウスでは早老の兆候がみられるようになった。
「筋肉修復に関わるほかの遺伝子が欠損すると、変化は胎児のころから顕著に表れることが多い」とコーシンは語っている。「我々が知る限りでは、オキシトシン遺伝子が唯一、成長するまで影響が現れないものであり、これはオキシトシンが老化のプロセスと密接に関連しているためではないだろうか。」
『愛情ホルモンが老化した筋肉を甦らせる』
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=44822&-lay=lay&-Find
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