孫崎 享さんの記事です:
Date: Mon, 24 Feb 2014 12:27:44 +0900
Subject: 日本の大学生に問う。貴方方はスノーデン事件をどのように判断しているか(秘密保護法関連)
スノーデンは米国NSAが盗聴していることを暴露した。
この行動を、日本の大学生の皆様はどの様に評価しているのか。
米国の国家機密を一方的に暴露した裏切り者とみるか、あるいは世に警告を発した人物として肯定的に評価するか。
多分多くの人は、さほどの関心を持っていない。
では英国ではどうであろうか。
2月19日時事通信は「スノーデン氏、名誉総長に=学生が選ぶ―英グラスゴー大」の標題の下に次のように報じた。
「500年以上の歴史を持つ英グラスゴー大で18日、米当局による情報監視の実態を暴露したエドワード・スノーデン元米中央情報局(CIA)職員が名誉総長「レクター」に選出された。
レクターは、学生らの投票で選ばれる。歴代のレクターには経済学者アダム・スミスや、イスラエルの核開発を暴露し投獄されたモルデハイ・バヌヌ氏らがいる。
レクターは大学当局の会議にも出席できるが、スノーデン氏はロシアに亡命中の身。ただ、学生らによれば、代理人を通じ就任の内諾は得ている。学生らは「スノーデン氏ら勇敢な告発者は、たとえどこにいようとわれわれと共にある」と連帯を誓っている。」
ちなみに世界大学ランキングではグラスゴー大は117番に位置している(日本では東大が27、京大が54、東工大が128)
日本の大学で、学生の総会がスノーデンを名誉総長に選ぶことがあるだろうか。
ありえない。
何故なのかを考えてみて欲しい。
スノーデン事件の一つの特徴は同盟国の盗聴を行っていたことが確証されたことである。その中に日本も入っている。
何故、日本の学生は英国の学生のように、スノーデン事件を敏感に感じ取っていないのであろうか。
英国学生は、政府の盗聴を民主主義への侵害とみている。
民主主義を守るべきものとみなしている。
多分日本の学生にはこの認識が弱いのではないか。
米国の世論はどうなっているのであろうか。
Quinnipiac Universityの世論調査結果は次のとおりである。
「問いスノーデンは裏切り者か警告者か"(%)
裏切り者 警告者 解らない
13年6月 34 55 11
13年7月 34 55 11
14年1月 34 57 9
この数字を見て、今一度スノーデン事件が何であるかを考えてみて欲しい。
そのことは、秘密保護法を考える時の参考になる。日本の政治は今、民主主義の根本を壊す過程に入っている。
残念ながら日本の若い世代の反応は鈍い。
しかし、世界的にみると、民主主義の崩壊に最も危機感を持つのは若い世代である。日本では何故そうでないのか、是非自問してほしい。
孫崎 享
駐イラン大使
外務省国際情報局*長 1997年-1999年
駐ウズベキスタン大使(初代) 1993年-1996年
*米国のCIA,英国のMI6などに相当する
日本の情報局です。でも日本の場合は攻撃性
がないですね。
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