The Voice of Russia:
アジア太平洋地域から追い出される米国
19.01.2014, 15:39 |
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太平洋における米国の完全な支配は終わりを遂げようとしている。中国が支配的立場を獲得しようとしているが、アジア太平洋地域ではそんなに簡単にはいかない。
アジア太平洋地域は最近数年間で急激に変化した。一連の国々が軍事力を増強した。「火付け役」となっているのは中国だ。ロシア高等経済学院・東洋学部のアレクセイ・マスロフ部長はこれについて、米国を押しのけるためだけではないとの考えを表している。
実際に中国はずいぶん前から、海軍をはじめとした軍事力を増強する方針を掲げている。中国は、アジア太平洋地域で起こっている事柄をコントロールすることは、事実上不可能だと考えている。北朝鮮は隣国と米国を核兵器で脅し、日本は中国と領有権を争い、澎湖諸島に関する中国と台湾の見解は大きく異なっており、解決のめどは立っていない。中国はこれらを背景に、状況を効果的に整える新たな調整役が必要だとの考えを表している。マスロフ氏は、なぜなら米国はこの役割を果たすことができないからだと指摘し、次のように語っている。
「米国はアジア太平洋地域を失ったが、状況をゼロにはしなかった。すなわち、米国が去ったとき、状況は安定するということだ。少し別のアジア政策を行う新たな主導者が、米国の地位に就くということだ。私は米国が、同地域に支障なく戻ることができるとは思わない。」
ロング・ウォー・ジャーナル誌のビル・ロジオ編集長は、アジア太平洋地域における現在の力の配分は、米国が状況のコントロールを失ったことを意味しているわけではないとの見方を示している。
ロジオ編集長はVORのインタビューで、「支配的立場を失う危険性は存在する。中国と日本の間で戦争が始まった場合、あるいは、例えば北朝鮮と韓国が戦争を開始した場合、中国は介入するか閉鎖するだろう。米国は、介入するだろうか?懸念はそこにある。私たちは大きな損害を出さずに、同盟国を実際に支援することができるのか、自分自身に問いかけなくてはならない」と語った。マスロフ氏は、軍事力の増強についていくらアピールしても、中国は数的な面だけでなく、質的にも米国に大きく遅れをとっていると指摘している。
この場合、地域におけるロシアの役割は何か?それは、大きな野心を持った国々の利益を尊重しながら、慎重に立ち回ることだ。ロシアは、アジアの状況にネガティブな影響を与えないように、適切な距離を保ちながら、柔軟な政策をとっている。
マスロフ氏は、これは非常に重要な課題だと指摘している。ロシアの目的は、地域でなんらかの紛争が始まる前に、当事者ではなく、仲介役として適した位置を占めることだ。アジア太平洋地域の今後について、専門家たちの見解は一致している。地域では戦争をしようとしている国はなく、戦争を望む国は1カ国もない。近いうちにも「アジア版NATO」が構築される可能性があるとの見方を表すアナリストたちも大勢いる。
彼らは、中国などの複数の国々が主導する新たな軍事同盟を創設する時期が訪れたとの考えを表している。そこにロシアが加わる可能性もある。