結弦くんと野村萬斎さんの対談!
昨日はローカルの壁に阻まれて録画は叶いませんでした( ; ; )
遅ればせながらevery 書き起こしです。
動画はこちらに
羽生結弦が新シーズンへ 「陰陽師」野村萬斎と対談
フィギュアスケートの羽生結弦選手が来月今シーズンの初戦を迎えます。
新たなテーマに、映画「陰陽師」のテーマ曲を使う羽生選手は、映画に主演した狂言師の野村萬斎さんと対談し表現の極意を聞きました。
ナレーション:フィギュアスケーターと狂言師の対談。先月、能舞台で行われました。
羽生:こんにちは。はじめまして羽生です。
野村:こんには。野村です。ようこそ能舞台に来ていただきました。
野村:初めてですか?
羽生:初めてです。
ナレーション:羽生結弦選手と野村萬斎さん。今回が初めての対面です。
羽生:マジで緊張する。ヤバイ、ホント緊張する。本当に緊張するんですけど
野村:そうですか。
羽生:本当に緊張しているんですけど、大丈夫ですか?
野村:なんでも聞いてくださいよ。
ナレーション:珍しく取り乱した羽生選手。
今回の対談は本人たっての希望でした。その訳とは?
羽生:今シーズンが陰陽師ということで、名前は「SEIMEI」というふうに決めさせていただいて
野村:安倍晴明と命の生命ががかかってるんですか
羽生:そうですね
ナレーション:新しいプログラムは陰陽師をテーマにしていたのです。
ソチ五輪金メダリスト羽生結弦選手。今シーズン初めて「和」のテーマに挑戦。
曲は映画「陰陽師」のテーマ曲です。
2001年の映画「陰陽師」。野村さんは陰陽師、安倍清明を演じました。
この呪文を唱えるポーズがお馴染みとなりました。
ナレーション:狂言の名門一家に生まれた野村さん。
狂言の認知度向上に大きく貢献しました。
そんな野村さんの映像を羽生選手は何度も見ていたとか。
子供の頃から憧れていた野村さんから振付のアドバイス。
羽生:すごいなぁすごいところにきているなぁ、俺。今、頭がちょっと混乱しているんですけど。
羽生:はぁ~、どうしよう。
ナレーション:金メダリストが狂言師に表現の極意を聞きました。
3歳から狂言の舞台に立つ野村さん。
狂言では観客の逆をつく、正反対の動きが重要だといいます。
野村:こっちの下に跳ぼうとした時に、必ずこっちの手が重要になるわけ。普通ここに跳ぼう、実際にはこう跳ぶだけの話なんだけど、この跳ぶということをする時に、ある程度こういうベクトルが来る訳。
羽生:はい
野村:ベクトルがあって、という風に・・まぁする。
ナレーション:曲げた手に観客の意識を向けながら、その手とは逆の方向に跳ぶのがポイント。
羽生:結局その、目立たせようとするが故に反対の方向に持っていくと。
野村:スケート例えばなんかその助走つけてそのままピューっといくんじゃなくて、そっち行くかと思ったら逆を行くみたいな。そういうのあったりすると、一瞬、
虚はつかれるような気もするけどね。
羽生:なんかすっごいもう、ためになりすぎて、頭がちょっと混乱してるんですけども。パンパンなんですよ、本当は。どうしよう。
野村:笑
羽生:本当に・・本当に。
ナレーション:野村さんは、子猿の役で狂言の初舞台を踏みました。この時、三歳。人間国宝の父、万作さんから基礎となる「型」をみっちり仕込まれたといいます。
羽生:伝統のあるものだからこそのプレッシャーであったり、先代の方のプレッシャーはどのように感じていらっしゃいますか?
野村:基礎として代々受け継いできたものが できないとスタートラインに立てないし、それはやっぱり非常に大きなところですよね。
羽生:完全に型にはまったものを基礎をしっかり教えて・・・
野村:そうですね。
野村:誤作動しないように型にはめ込んで、それがいつでもオートマチックできるようにするのが、一つ「型」という在りかたの気がしますね。
ナレーション:羽生選手もまた子供の頃からスケートの基礎を叩き込んできました。
羽生:僕らも、稽古というか練習をしてきて、それこそ機械的に ジャンプを跳べるようになっていって、それこそ「型」ですよね。「型」のまま・・・
ナレーション:狂言もスケートも型を身につけることが重要なのは同じ。だからこそ難しさがあると羽生選手は感じていました。
「型」ある者の宿命
羽生:違う試合だとしても、毎回同じプログラムをするので、やっぱりわかるんですよよ、みなさんが
野村:「くるぞくるぞ」って待ってるわけだよね
羽生:ここで4回転くるぞとか
野村:これは、こう跳ぶんだとわかってても、それを「おぉ」と思わせなければいけないとこが、一つ「型」のあるものの宿命。お客様が期待されること以上のことを本当に以上かはわからないけど、その時のお客様にとっては、自分が思ったものよりも上を見せるということをしなければいけない。
「型」のなかで表現を効果的に見せるために重要な事とは。
狂言の「三番叟」という演目を例に、野村さんが説明しました。
野村:ここ(舞台は)楽器の要素もあるんですね。こういうところで音をさせる構造になっている。跳ぶ時も・・・ていう風に、もちろん音をさせないでポトンと跳ぶ時もありますけれども、「三番叟」というものの中に三連続で跳ぶというものがある。それなんかも・・・最後だけ音をさせる。
三回連続で跳ぶ場面、こちらは実際の映像です。最後の音を強調。
野村:押すだけでなく「引く演技」というか「見て見て見て」というためには、その分引いている部分があったりした方がより効果的に見える
野村:そうですよね。
羽生:最後のがすごく映えるというか。
野村:そうですよね。
羽生:すごいな。すごいところに来てるな、俺。
野村:笑
羽生:恐れ多いんですよ、今。本当に。
野村:いえいえ・・・
ナレーション:羽生結弦の新プログラムに、狂言師、野村萬斎がアドバイス。
いよいよ始まったスケートのシーズン。初めて和のテーマに挑戦する羽生結弦選手。
その振り付けに、狂言師 野村萬斎さんからアドバイスが
ナレーション:こちらは羽生選手のプログラム。冒頭の振り付け。野村さんの映画「陰陽師」を真似ています。
羽生選手の振り付けに、野村さんには気になる点がありました。
野村:この左手はなんぞやと。僕はちょっと気になりました。僕らだと、ここに烏帽子があって、ここの自分のバックに こうなるように大きな袖がくる。
ナレーション:映画では烏帽子と狩衣と呼ばれる衣装の長い袖とのバランスで左手の位置を考えたといいます。
しかし、同じ振り付けの羽生選手の衣装には烏帽子も長い袖もありません。
野村:身に着けているものが違うとアレンジの必要性がある。どう見せるかという意識。僕も狩衣がなければ、もっとぐっという風に、だんだんフラメンコチックになってくるとかね。笑
羽生:笑
ナレーション:衣装が変われば、同じ振り付けが効果的ではなくなるというのです。
野村:「型」はね自分で解釈していくものだと思います。この「型」に何の意味があるのかわからないというか、放っておかないで、例えばこれも、晴明がやってたからだけでなくて、ただ外形をなぞるのではなくて、「天・地・人を司っとるのや」という意識をこめればそれが集中の一つ契機になりますよね。
羽生:自分がその振りにどういう意味を込めてやっているのか
野村:そうそう
ナレーション:一方、羽生選手にはもう一つ悩んでいる事がありました。
演技を締めくくる最後のポーズです。
羽生:最後のポーズは割と、音を出そうとやっているんですけど、最後の所って太鼓の音が鳴って終わる音は聞こえないんですけど、どうやってみせようかなとちょっと悩んでます。
野村:音を見せることも重要かもしれないけど、音を見せた最後、羽生選手が見えなきゃいけない。例えば最後、音が鳴らせないなら、例えばこう足で鳴らせないなら手で打って天に響いたというか
羽生:なんて表現したらいいんですかね?音自体を追う・・・そういう感覚なんですかね。
野村:音を纏い、音を司ったという感じで、最後の音「ダーン」とたったものがそのまま照射していったというような 、それが広がったというほうが かっちょええ気が
演出家・野村萬斎とか、振付家・野村萬斎的には思いました。
羽生:いや~、もう振付変えたいわ。笑 いろいろ振付変えたいわ。
ナレーション:一方でフィギュアスケートは採点競技。技術と表現の両立が課題です。
羽生:一番は結果なんですけれども、やっぱ記憶に残る演技をしなくては、どっちにしろ結果はついてこないです。
ナレーション;記憶に残る演技に必要なこと。野村さんはこう考えています。
野村:そういう意味では精神性がすごく重要ですよ。やっぱりジャッジという邪な・・・
羽生:邪な、邪な 笑
野村:邪でもないだろうけど、人だけに対するということではなくて、やっぱり周り全部の空気を感じ取る。「場」を支配するためには「場」を味方につける。
自分の意識を会場全体に持っていきたいし、その場とその時間、空気を纏う。
羽生:お客さんとか会場の雰囲気だとか?
野村:そうですね。その空気、場を味方につける。纏うということができると、人は喜びますね。
羽生:そうですね。
ナレーション:ジャッジや観客だけではなく、会場全体に意識を向ける。これまでになかった発想でした。
羽生:ありがとうございました
野村:いいえ、こちらこそ。勝手に喋りましたけど。
羽生:とんでもないです。本当にためになりました。
野村:そうですか 笑 害がないことを祈ります。
羽生:いえいえ、とんでもないです。
野村:じゃ頑張って。
ナレーション:金メダリストの意識を変えた今回の対談。
羽生:なんか、ありがたすぎて。萬斎さんが仰っていた、一つ一つの形に意味を持たせる。ジャンプにも意味を持たせることができるし、スピンにもステップにも意味を持たせることができる。全部自分の中で、自分の解釈で変えられると思います。
ナレーション:新たな表現で見せる、今シーズン。
羽生選手は来月、カナダで初戦に挑みます。
藤井アナ:いや凄いですね、青山さん。
青山:やはりそのフィギュアスケートも能も演技で観客を魅了するという意味では同じなんですけれどね、観客の逆を突く反対の動きとか場の空気をまとうとかですね、その道を極めた二人に響き合う共通の言葉がありましたよね。野村萬斎さんから刺激を受けて、さらに演技に深みを増した羽生選手に期待したいですね。
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とりあえず、テキストのみ。
非常に深い対談でした。
いつもはインタビューされる側の結弦くんですが、今回は質問する側に。
こんなテンパる結弦くん見たことがありませんでしたし^ ^
こんな神妙な面持ちの結弦くんも見たことがありませんでした。
そして、緊張しながらもとても嬉しそうでしたね。
演技における大きなヒントを得たようですね。
そして、萬斎さん。
はぁ~。結弦くんもそう思ったと思うんですが、圧倒的な存在感でした。
生涯をかけて芸の道を極めんとする人の、内に秘めたる凄みというか、そういったものがパソコンの画面からも伝わってくるようでした。
実は「仕事を流儀」を見てから、萬斎さんラブ


なんとも不思議な魅力のある方ですね。
今回、結弦くんに語りかける萬斎さんの表情を見ていたのですが、萬斎さんの表情って本当にすごく変わるんですね。
実年齢よりも非常に若く見えると時もあれば、ある時は年相応だったり、また結弦くんに語って聞かせる時の老練な様子など・・・表情豊かで、まるでお芝居意を見ているようで、目が離せなくなってしまいました。
そしてまた、声がいい❤️
最近随分、大人になったなと感じた結弦くんでしたが
今回、萬斎さんを前に、結弦くんがとても可愛く見えました^ ^
でもその萬斎さんですら、能や狂言の世界ではまだまだ「鼻垂れ小僧」なんですよね。
まだまだ、スタートラインに立ったばかりだという💦
結弦くんにも、まだまだたくさんの学びがある。

緊張しつつも、結弦くんの嬉しそうな顔がすごく印象に残っています。
萬斎さんと対談できてよかった!
結弦くん、「SEIMEI」のプログラムを通してまたきっと自分の殻を破りますね。
振付もきっと変わると思いますが、結弦くんがどんなプログラムに仕上げてくるのか今からとても楽しみです。
そしてまた、一体リンクでどんな存在感を放つのか・・・
元々、場の空気を支配することに長けた結弦くんですが
萬斎さんの言葉を受けて、場と空気と時間を纏った結弦くんの姿を見てみたい。
シーズンを通して、結弦くんの進化が楽し見で仕方がありません


長々とおつきあいありがとうございました
