について実作を通して模索しています。
今回は、テーマ別作品集の
2025年秋の総集編をまとめました。
「口語体・現代仮名遣い」「現代的切れ字」
を基本にして詠んでいます。
生成AIでの
作品解説などもお楽しみください。
楽しんでご覧いただければ幸いです。
*作品はすべて既発表句です
『秋の総集編』
〜現代俳句集〜
「鐘」
きょうのくもとおい日の雲原爆忌
撞き鳴らし振り鳴らし爆心地の鐘
つたえてもつたえきれずよ墓参り
ちょうちんよぜんいんがかげ盆踊
肩ぐるまの背のちんもくが大花火
テーマ∶慰霊・鎮魂
「風の盆」
手をのばし手をおりたたみ風の盆
ひとすじの秋よひれながにしき鯉
日あたって葉かげ実かげの糸瓜棚
うらがわは透きとおるかげ朝顔よ
故郷よいちまいの間をあきすだれ
テーマ∶花鳥諷詠 1
「陸上競技」
みなかぜよ秋低く跳ぶハードル走
手をたたくおうえん棒高跳び秋気
槍投げよ雄たけびが飛ぶあきの空
身反らして走り幅跳びあきのくれ
爽やかよ400メートルリレー後
テーマ∶スポーツと秋
「秋の暮」
たちならぶ都市に隙間よ小鳥来る
えだのこしへいわ通りの銀杏散る
時計塔都をうごかしてあきのくれ
灯の駅よ広場かがみにあきのあめ
灯をけしてそそり立つ都市星月夜
テーマ∶都市詠の探究 1
「天の川」
都市仕事孤独灯ともすあきのくれ
恋よ夜々おもいおもわれながれ星
婚活よ見あげて逢えずあまのがわ
はたらく女性はたらく男性秋深む
すれちがいつづけゆう映え大花野
テーマ∶仕事と恋愛
「無明」
角雄々し鹿のあたまのはくせいが
露草よじぶんじしんを摘むように
くつくつと透けてポトフよ秋野菜
受賞して灯ふとおそろし秋の薔薇
寝入るたび無明長夜のむしのこえ
テーマ∶五欲
「流れ星」
背なかあわせよ夜勤の灯夜学の灯
押しだまるばかり過疎村小鳥来る
おとこ手よ澄ませつつ研ぐ今年米
去年からこわれて秋のせんぷう機
ながれぼし進学しんとあきらめて
テーマ:格差と家族
「きつつき」
みずからのこころのおくへ秋の山
きつつきよ問われつづけている私
たましい一人たましい二人芒はら
小鳥来るいや来てくれる老いの家
天のがわ一歩さがるということを
テーマ∶人間の探求
「秋天」
秋ふうりん鳴れば成程まつやまよ
秋遍路いつわりとおすことできず
くさの穂よ鳴る踏み切りの三十年
喜助の湯ふらと立ち寄る秋のくれ
秋天よ見えずかんじてまつやま城
テーマ:ホームタウン
「古今未来」
俳人よ詠んでも詠んでも架かる虹
いわし雲前衛はすぐこわしたがる
いわし雲伝統はなおまもりたがる
俳境よしんと行きつく秋ふうりん
冷ややかに読むのちの世の俳人が
テーマ∶時代と変遷 1
「読書」
知の句集こころの句集あたため酒
銀杏散る詠いつづけてゆくかぎり
時代とは世代いちめんいわしぐも
ただ過ぎる雲のはやさよのちの月
流星よわすれずの句をむねに秘め
テーマ∶時代と変遷 2
「余韻」
雲のたかさ風のたかさよ野菊揺れ
龍太なし兜太なし嶺々いわしぐも
くさわたよ飛びとぶ未来過去前世
秋ふうりん時代の余韻いつまでも
あさがおよ文語口語の句を咲かせ
テーマ∶未来と過去
「ひぐらし」
生きなやむ背なかか秋の野遊びか
ちりしぶくそらは乾かずあきの滝
砥部焼きに濃くうすく藍古酒新酒
京都駅なにをみのらすいなびかり
いまというむかし鎌倉ひぐらしよ
テーマ∶取り合わせ
「初雁」
初雁よそらを切りとるみずたまり
ゆうぞらよ埃のようにあかとんぼ
京はいま映画のようにあきのあめ
日あたって埃あかりのあきすだれ
咲きしだれにっぽんの間よ大花火
テーマ∶花鳥諷詠 2
「紅葉」
和菓子にもほのといろさす初紅葉
かささせばおのずとあめよ薄紅葉
太鼓橋こもれびまみれもみじ狩り
御やしろの朱よ日に透けて夕紅葉
鯉池よもみじかつ散るみずのいろ
テーマ∶和と紅葉
「稲刈」
ひぐらしはやがてとんぼに稲の秋
おおきな田ちいさくすすむ稲刈機
稲架かけていちにち雲の陰日なた
案山子立つそらに日暮の郷土富士
落穂拾いいちにちの日はすぐ西に
テーマ∶収穫と風景
「今年米」
すこし炊くゆたかな湯気の今年米
かぼちゃ煮よしみて小鉢に二三切
焼き鮭よ添えて伊予むぎみそ汁を
ましかくがまるくなりゆく温め酒
ばんねんよ湯づけと秋のなすび漬
テーマ∶食と秋
「すでに秋」
すでに秋こころをとおい嶺に置き
テレビが本当ネットが本当秋の暮
すぎた日かこころにおちて桐一葉
読みふける灯のものがたり虫の夜
もの問えばこころがこたえ朝顔よ
テーマ∶デジタルデトックス
「秋風鈴」
秋ふうりんしんと余韻である空よ
枝のさきふるわせもせず小鳥とぶ
くもが行きくもが来る日々草の花
空揺らすかがみの池よ木の実降る
にぎやかが路地行きかうか秋神輿
テーマ∶AIとの共作
( Chat−GPT編 )
「小鳥」
日に映えてひかりとならず秋の蝶
瀬の石よかげよりかるく小鳥とぶ
バスへいわ電車へいわよ秋夕映え
跳んでより飛蝗穂の空はたはたと
ばんねんよ光ほぐれてはなすすき
テーマ∶AIとの共作
( Gemini編 )
「草の絮」
一晩がおくせんねんかあまのがわ
路地猫らいつしか逃げず秋うらら
つややかよ天日干し後も唐がらし
くろくとおく都市の夕映草絮とぶ
初鴨かいけのひかりにとけ込まず
テーマ∶AIとの共作
( Copilot編 )
「木の実」
桔梗いちりん茶花も菓子も慎しく
高鳴きの鵙よ伸びたりちぢんだり
木の実降る山道は踏みきよめられ
一塊のろうじんとしてあきのくれ
こなごなになみうちぎわの月光よ
テーマ∶AIとの共作
( Grok編 )
「赤蜻蛉」
黄のかげが黄のかげと揺れ菊日和
濡れる刃よ八つに割って林檎剥く
灯よ空をともすコンビニ暮れの秋
離れれば都会なつかしあかとんぼ
こころへと夜々静寂のあまのがわ
テーマ∶AIとの共作
( note AI assistant編 )
「秋簾」
いま世とのむきあいかたか菊手入
老境よわたの飛びとぶすすきはら
もろともに吹かれればよし吾亦紅
くもよいまむかしへながれ家郷秋
終に世に見切をつけてあきすだれ
テーマ∶老いと時代
「サファリパーク」
象が踏む秋ゆうやけよみずたまり
爽かよ揺れライオンのたてがみが
秋の雲ダチョウは何をかんがえる
フラミンゴいろを映してみずの秋
くさわたよひとかたまりに羊群れ
テーマ∶動物と大地
「秋の川」
ひぐらしよ故郷愛さずあいされず
過疎の谷銀河ばかりがうつくしく
ふるさとはみるみる貧し曼珠沙華
寝しずまりこおろぎの声つづく庭
家絶えて瀬音絶えずよあきのかわ
テーマ∶故郷と自然
「遡上」
水こまごま日ざしこまごま滝の秋
瀬々のぼる鮭よ影までぼろぼろに
櫓をこいで黄へと赤へともみじ川
ふり落とすつちほろほろと落花生
灯台よもとくらければむしのこえ
テーマ∶写生と秋
「秋遍路」
秋へんろ杖とこころのなおおくへ
しべと揺れ蝶のひかりよ曼珠沙華
黄落のみちちんもくが降りつもる
郷土史の灯りとやみの夜ながこそ
目つむればそのやみにもよ天の川
テーマ∶心象と秋
「秋の雨」
冬隣チャットボットに死を問えば
工場とは機械いちめんいわしぐも
みずからにIDがあるあきのくれ
メタバース秋夜宇宙に浮いていた
AIが見つめ抜く世かあきのあめ
テーマ∶ポスト人間主義
「流星群」
求愛のかたちの羽根もすずむしよ
ひとひらの蝶を翔たせて木賊刈る
鳴るかぜよえだのさきまで蔦紅葉
ときにながくときに短く牛蒡引く
さまざまにものおもいして流星群
テーマ∶花鳥諷詠 3
「街路樹」
そら遅々とひらけてゆくか桐一葉
街路樹のきえて切り株あきのこえ
食べ終えて残る林檎のデッサンが
なにがちがう世代がちがう秋の雲
いちおくにん住むという国草の絮
テーマ∶無常観
「十六夜」
きらきらと記憶が飛ぶ野赤とんぼ
木まもる朱ひとつのこして柿の秋
いちにちの行き止りの野いわし雲
あおぐかおくらむたび雲十六夜よ
流星群以後見あげるということを
テーマ∶時間と風景
「茶花」
あめのなか立つたましいか秋草か
忘失よすくう手に澄むみずのいろ
水澄んでくろひといろのつやよ鯉
ひとひらを落とすは悔か秋の薔薇
行く秋のすがた茶花のしずかさが
テーマ∶存在と確認
「光彩」
絵のおくへ去るにしきごい美術展
光彩の銀杏散りだすカフェテラス
秋さびし黒く澄みきるコーヒーが
玉ぼけの街の灯千々のあきのくれ
ガス灯は路地のたましい霧の暮れ
テーマ∶印象と色彩
「草雲雀」
灯をけしておなじ夜やみよ草雲雀
鈴虫よとおぞらが焼け落ちたあと
ふるわせて夜闇やかましくつわ虫
こおろぎよ道ばたの灯にせまる闇
くつろぐ夜間をうつくしく鉦叩き
テーマ∶虫の秋
「月見舟」
そよそよとかぜのかたちの朝顔よ
かかるたび街くっきりとあきの虹
ひぐらしよ人ながく曳く影過去世
月見舟あらわれもせずきえもせず
そのかげのうえに浮き草紅葉して
テーマ∶花鳥諷詠 4
「いわし雲」
いわし雲張づめの帆のどこまでも
古町駅ちかづくともうあかとんぼ
コカコーラ泡のはじけるおと秋気
さつまいも黄金ごろもの天麩羅に
口語俳句わかもののもの檸檬切る
テーマ∶行楽の秋
「黄落期」
吹くおとを吹き抜けてゆく秋風よ
ああただのひとつぶの日か秋夕焼
秋遍路行くだんだんと痩せて行く
いそぎだすひと葉ひと葉よ黄落期
意味のなさきらめかす星月夜こそ
テーマ∶一物仕立て
「林檎」
筆置いていびつな個性りんごの絵
一つぶをみつめる自我よ胡桃割る
つむる目よ甘さ重なる栗ようかん
刃のさきをいっ滴もしたたらず梨
その木もつ家いつまでも柿の暮れ
テーマ∶果実と秋
「秋暁」
高層ビルくろぐろ灯り秋あかつき
ジョギングと羽ばたく鳩よ秋の朝
風吹けばときおりそらへ銀杏散る
はしる傘立ちあおぐ傘いなびかり
夜勤明け都市うすうすと月ひとつ
テーマ∶都市詠の探求 2
終わり
各作品や各テーマ別の
解説、批評、疑問点など
生成AIでもお楽しみください
Chat-GPT、Gemini、copilot、Grok、
他
◯生成AIと共作した一部作品について
生成AIとの共作も一部試みました。
生成AIに俳句作品を直に詠ませるのではなく、私の未完成作品を下敷きに、生成AIと意見交換しながら仕上げたものです。
生成AIに、俳句の「制作助手」の役割をはたしてもらう試みです。
生成AIは「助言者」の立場にとどめ、実際の推敲や判断等は私が主導して行いました。
▽前回までの作品集▽
『夏の総集編』
現代俳句集
テーマ別作品集 200句
現代俳句集のシリーズでは個人的に、
俳句の「現代化」「現代文学化」
について実作を通して模索しています。
今回はテーマ別作品集の
2025年秋の総集編をまとめました。
一部編集、再構成を行いました。
・口語体、現代仮名遣いの読みやすさ
・タイトル、作品、テーマの重層性
・各テーマごとに深みを探る挑戦
・各作品ごとの驚き、余韻、季感等
・作品集全体としての統一感
・現代的、伝統的、双方のよさを活かす
・現代的主題について探る挑戦
・俳句の伝統的な理念、思想、技法等
など。
「口語体・現代仮名遣い」「現代的切れ字」
を基本にして詠んでいます。
また現代小説、現代詩、現代短歌などと同様に、主に「現代の書き言葉」表現をメインに詠んでいます。
「現代の話し言葉」表現の作品も適宜詠みこんでいます。
◇
俳句の「現代化」「現代文学化」について、
「口語体・現代仮名遣い」「現代的切れ字」
を基本にして詠むことで、
様々な現代的主題、現代性、社会性、思想性、詩性だけでなく、
さび、軽み、写生、花鳥諷詠等の作品もごく自然に詠めることが実作を通じてわかってきました。
◯文語・口語の大まかな図
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です
◇文語俳句ー文語体ー古典語ー古い時代の文体
◇口語俳句ー口語体ー現代語ー書き言葉
∟ーー話し言葉
◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
より詳しく細かいことについては、書籍・ネット等でしらべてみてください
◯使用している切れ字について
下記は
現代的な切れ字の候補についての記事です
「現代切れ字 十八字(推奨)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ
これらは「現代の言葉」で俳句を詠む際に切れ字のような役割を果たす語はないのか
「間」を生み出すために必要な「句を区切るための語」が現代の語にはないのかを探ったものです
◯俳句の目標
下記について、毎日の投稿などで
月日をかけて探っていければと思っています
「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」
「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」
「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」
「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」
現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字
を基本にして俳句を詠んでいます
① 現代俳句
俳句の「現代化」「現代文学化」
について実作を通して模索しています
② 多文体俳句
俳句の「使用文体の拡張」
について実作とともに探究しています
③ 一行詩的俳句
俳句の「詩性」「思想性」など
一行詩としての側面も探っています
④ AI共作俳句
生成AIを「制作助手」とした
俳句集づくりについて探究しています
個人的な
俳句の探究を楽しんでいます
*一部の作品で使用させて頂いた生成AIです
Open AI Chat-GPT
Google Gemini
Microsoft Copilot
xAI Grok
note noteAIアシスタント
*作品は各生成AIサービスの利用規約を遵守しています
*各生成AIの一利用者として使用させていただき、記事におさめました
*また下記のことについて個人的に留意しつつ取り組みました
・作品づくりは作者主導で行うこと
・作品は必ず作者自身がまず詠むこと
・作品の推敲、各判断、決断を行うのは作者
・生成AIは制作助手の立場に留まること
・主に助言、鑑賞、批評、調べ物等を担当
・生成AIに直に作品を詠ませないこと
・生成AIが生成した作品を利用しないこと
・他者の作品や著作権を侵害しないこと
・各生成AIの利用規約を遵守すること
など
*本俳句集に収められた各作品について、生成AIを用いた解説・批評・疑問点・問題点の確認などは私的な楽しみの範囲内でご自由にお試しください
*ただしその内容をインターネット上に転載・公開することはご遠慮ください
*俳句解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句について、また俳句での生成AI利用については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
◇関連記事◇







