俳句自選100句です。

2021年までに詠んだ句の中から、手軽に読んでいただけるよう100句を選んでまとめました。 

よろしければご覧になってみてください。


現代語を基本にした俳句集になります。

現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字を基本にして詠んでいます。


下記の古語や歴史的仮名遣い・古典的切れ字を使っていないことなどもご確認ください。

や・かな・けり・たる・たり・なる・なり・あり・をり・ぬ・べし・らむ・けむ・にて・とや・てふ・ゐて・ゐし・し・き・等々


※作品はすべて既発表句です





自選俳句
作品集
〜100句〜


◇ 夏 ◇

おおぞらをとおくきよめる風鈴よ


顔あげていた夏ブルーインパルス


そのなかに揺れるみらいよ香水瓶


いち族の写真いちまいほたるの夜


あおぎみてひとのかずだけ夏の月


ハードル走次つぎと夏こえゆくか


聴くまではきこえず坂の蝉しぐれ


寝ころんでうちゅうに一人夏座敷


日本じゅうおなじじだいを夕涼み


手花火よ一人消えまたひとり消え


富士の山すえひろがりの涼しさよ


蓮いちりんいのり代表するように


せんねんがきこえくる寺蝉しぐれ


故郷までつらなって山ほととぎす


これ以上踏みいらず山ほととぎす


そのはてに都市いくつもよ夏の河


通天閣おおさかいちのすずしさよ


アイスコーヒー氷残してまた街へ


飛びこんでちいさなしぶき太平洋


平およぎ海をひらいてゆくことよ


とびうおが飛んできらきら一億年


生きるとはただ生きること炎天か


関東よなんのいかりのかみなり雲


人類のまつえい一人キャンプの火




◇ 秋 ◇

スカイツリー空新涼ということか


大ぞらのどこからとなく小鳥来る


野菊摘む天地のことば摘むように


月を見て三日こころのしずかさよ


なにもかもひかりに消えた原爆日


あかるくてこの世あの世の大花火


どのひともいつか灯となる流灯よ


ほんとうはしずかな地球虫のこえ


生きること死ぬこと天の河のした


さまざまななやみのこたえ朝顔よ


応援団長天よりたかいこえをだせ


空よりもしずかに銀杏散ることよ


船に風まったくもってさわやかよ


いちまいの大ガラスまど鳥わたる


ほんもののひびきか奈良の秋の鐘


露踏んで西へひがしへじんるい史


ひとり行く花野いつしか夢のなか


ひととして暮れのこったか秋遍路


たくさんの船たくさんの秋の暮れ


また一人あかるみに出て十五夜よ


待たされて月スクランブル交差点


親のことおもいはじめる十六夜よ


まんてんの星きよめるか虫のこえ


はるかさよ未知がかがやく天の川


夜顔よかたりつがないものがたり




◇ 冬 ◇

つむじかぜそのままそらへ神の旅


一日をまっしろにしてしぐれるか


さいげつをながめ見てこそ大枯野


ふたとって鍋ぐつぐつとにほん海


この星をあたたかくするしら息か


ちんもくが初雪になるふるさとよ


釣鐘は打つもの雪はたまわるもの


村長のかげとひかりの日なたぼこ


町じゅうがおおひなたぼこ鎌倉よ


コンビニの一灯ふゆにまむかうか


ボイジャーは今どのあたり冬銀河


さいげつをみおくることが落葉焚


嶺に雪死ぬも生きるも身をもって


あおぎみるひとりひとりが雪の花


てっぺんに富士あるそらよ正月凧


このためのさんぽだったか福寿草


ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ


プロキオンカペラシリウス庭焚火


ロボットがひょこひょこ歩く春隣


いちりんの冬のすみれの一途こそ


寒がらす人の世もっとさびしいぞ


夜明け空咳がこんなにひびくとは


ほっかいどう零下四度の冬ぎんが


焚くひとも落葉も地球しずけさよ


せつぶんのまめのちからか百一歳




◇ 春 ◇

つぎつぎとそら染めてゆく紅梅か


伊勢神宮おおきな春の日だまりに


木々の芽のひとしずくずつ雪解よ


梅いちりんにりんさんりん天満宮


北を見ればどこまでも北鳥かえる


コンビニがうつくしい夜ぼたん雪


輪郭がだんだん富士よ春あけぼの


さんじゅうは咲きでてくるか庭椿


かもめとぶ沖にまで春およんだか


じんるいのゆめのはじめの畑打よ


春満月そうつぶやいてしまうほど


海女ひとりふたり歴史の波の間に


鳩の空いのち見あげるあたたかさ


花見してはるばると時こえゆくか


無になってながめる花よ花のなか


ふるさとの山ふるさとの山ざくら


にぎやかに来て沈黙のやまざくら


若草か野はらから立ちあがるひと


オカリナか山河にひびく春のおと


いままさに春日大社であることよ


地球から借りたからだで野に遊ぶ


世をつつむはるゆうやけの安心が


変わらずに変わりつづけよ春山河


豊じょうのゆめひとにぎり春の土


春ゆうやけ三人ほどは見ているか


ほしぞらよちきゅうひとつが遠蛙




いつも
ご覧いただき
ありがとうございます



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