曇り時々雨のち晴れ。 | 余白やの余談

曇り時々雨のち晴れ。

村上春樹の短編集の装画が豊田徹也の絵だったので、というのもヘンだが、久しぶりにビル・エヴァンスとジム・ホールの『アンダー・カレント』を聴いています。1962年録音。90年頃に出たCD、定価2800円! 未発表テイクがいくつか収録されていて、アナログ盤と曲の並びが違います。この頃の東芝盤にはこういう「completed」ものが多くて、ちょっと困った。例えば、アート・ペッパーの『モダン・アート』などは「ブルース・イン」で始まって「ブルース・アウト」で終わるものに決まっている(!)はずなのに、そうじゃなかったのですよ、東芝盤CDは(!!!)。ま、それはともかく、これはあまり酒のお供ではない感じの音楽ですね。で、「アンダー・カレント」つながりで、というのもさらにヘンだが、エリック・ワトソン『ユア・トゥナイト・イズ・マイ・トゥモロウ』も聴いています(ジャケットの絵柄の呼応ね)。これもまたリラックスとは縁遠い世界。エヴァンスとちょっとつながるけれど、今聴くと「ちょっとだけ」であるように感じます。スティーヴ・レイシーの存在感が大きいのです。1987年録音。定価3008円! 

 豊田徹也の作品(「アンダーカレント」「珈琲時間」「ゴーグル」)は時々取り出して読むのですが、こんな風にその世界に親しむ作品は案外なくはないのです。読む度に、あるいは聴く度に、またあるいは観る度に、おなじみの世界と出会うのではなく(というか、おなじみの世界と出会いたいのではなく)、違う視野が開けたり、新しい音が聴こえたりするのです。マイ古典と出会う今日はいい日だ。豊田徹也の知名度上がるか?