ビブリア古書堂に辿り着けたなら | 余白やの余談

ビブリア古書堂に辿り着けたなら

外出先で時間が空いてしまって、それを埋めるべき手立てを持ち合わせなかったので、目についた新刊書店で購入した『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延 メディアワークス文庫 2011)を公園のベンチで読了。ラノベ(なの?)を通読したのは初めてなんだけど、面白かったス。この小説が売れているらしいことはなんとなく察していましたが(1年間で21刷!)、先日あるタウン誌のインタビュー記事で作者がご近所の人であること、この小説の舞台も湘南界隈であることを知り、さらに作者がアルバイト店員だった古書店というのが「あ、○○さんのお店ね」と特定できたりもしたので、今日偶々書店店頭で手に取り、またイッキに読めたりもしたのです。お馴染みの地名も頻出するし、変名で登場する店やらなにやらも大抵実在の某所とわかるし(&自分も一応古書店業界の末席の端っこを汚してもいるし)…。ですが、そんな風に地元民(?!)がニンマリしながら読むだけでなく、これはよくできたエンタメ小説であるわけで、そうでなければこんなに読まれないわけです、多分。ではどこがそんなに面白いのかといえば、ホームズ役が美貌の女性古書店主で、ワトソン役が読書に対してトラウマを持つ大男というちょっと意外な設定が効いているようです。古書の周辺が舞台になっている小説としては出久根達郎以来久々のおもしろ小説でしょうか。思わず第2巻も読んでしまいました。今月下旬の第3巻が待ち遠しいゾ。だからといって、古書業界にお客さんが戻ってきたりとか、売り上げが伸びたりとか、そんなことはなさそうですが(そういえば最近、古本屋の店員が主人公という日本映画、ありましたね、タイトル忘れてますが)。

それはそれとして、腰巻によると、本書が「本の雑誌が選ぶ2011年度文庫ベストテン第1位」であるのはまだしも、「本屋大賞ノミネート」ってのはどうよ、の感なきにしもあらず。作品そのものの評価がどうこうではなくて、そういう賞(書店の店員が選ぶ、だって!!)の存在そのものがね。そういえばいつ頃のことだったか、編集者が選ぶなんとやらという超噴飯ものの賞もありましたっけ。あの頃から世の中がおかしくなっていったンじゃないか? 




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