冬ピアノ | 余白やの余談

冬ピアノ

よく晴れた日。窓越しに見える冬の陽射しは妙に無音の感じで美しい。朝一ディスク、普段は割と無造作に選んでいのだけど、今朝はなんだか慎重な気分になってしまったのでした。で、手に取ったのはグレン・グールドの『イギリス組曲』。’70年代に録音されたCBSの2枚組を聴き終わると正午を少し回りましたが、まだ静寂感は続いていて、次に聴いたのはポール・ブレイの『One Year After』。これは’90年代初めにイタリアのインディーズが録音したもので、3年ほど前に何故か日本盤がリリースされた際に入手したアルバム。で、その後も『Virtuosi』『JapanSuite』(30年前の合歓の郷でのライヴ)と、ブレイのリレーを続けました。

 春先にぼんやりとポール・ブレイを流していると結構いい気分、てなことを書きましたが、冬の日のブレイも良い(もちろんグールドも)。ただ、春の日には生ぬるい透明な水球のように感じられたブレイのピアノの響きが、今日はいささか低温気味の印象、水球の大きさもちょっと小さい感じ。他の誰にも似ていないインプロ演奏なのに、固有の色が感じられない(というのは余白やだけの聴き方かもしれないが)ポール・ブレイは、不思議なピアニストだなぁ。逆にグールドは強烈なグールド・カラー(これも勝手な聴き方なんですが)で・・・、そういえば二人ともカナダ人だ。