時代劇の所作や殺陣(たて)にこだわりも一家言もお持ちの
岡田准一さんが主演する、司馬遼太郎さん原作の映画
「燃えよ剣」 を観てきました。

燃えよ剣①_2021.10.20

2時間を超える、しっかり作り込まれた作品で
集中力を切らさずに最後まで楽しめました、
と一応述べておきたいと思います。

まあ、でも、幕末の京都を舞台に、
新選組の土方歳三が主役なので、
要は殺し合いの映像がメインです。

そういう傾向の作品、実はあまり得意じゃないです。
しかも、テレビのチャンバラ時代劇とは異なり、
斬り合いがリアルに描かれているだけに、
思わずスクリーンに見入ってしまうものの
「ううっ……」 となってしまいます。
血のりも妙にリアルなんですよね。

 

本作品は、もともと昨年2020年5月に公開予定であったものの、
コロナ禍の影響によって公開が延び延びになってしまった結果、
ようやく今年2021年10月に公開された待ちに待った映画です。

燃えよ剣②_2021.10.20

それだけ長く待たされていただけに、
否が応にも期待が高まっていました。

とは言え、監督が原田眞人さんだったので、
どうなんだろう、という気持ちもありました。

原田監督の同じく司馬遼太郎さん原作の 「関ヶ原」 という作品も
期待して観にいったのですが、個人的には 「う~ん……」 という
感想を抱かざるを得ない結果に終わっていましたので。。。

 


多くの映画では、原作と異なるシーンが撮られているのが通常であり、
それ自体は、しばしば原作超えなども誕生するので否定はしませんが、
「関ヶ原」 でも今回の 「燃えよ剣」 でも原田監督の場合、
「んんっ?」 と感じてしまう原作改変が多いような。。。

映画のようなアート作品の場合、当然のことながら
その評価には個人の嗜好や好みが強く反映されるわけですが、
原田監督作品は、私にとって鬼門の一つだと今回悟った次第です。

あぁ、でも、芹沢鴨役の伊藤英明さんや近藤勇役の鈴木亮平さんは、

もの凄くはまり役で、素晴らしい演技を披露されていると思います。

 

個人的には、尾上右近さん演じる松平容保(会津藩主)が一番印象的でした。

徳川一門としての責任感、養子として会津松平家に入った当主としての遠慮や

家臣・領民に負担を掛けながら京都守護職を全うすることに関する懊悩などなど

難しい立場に置かれた容保公の内面がにじみ出るような素晴らしい演技でした。



[ 2021.11.26(金)日刊 ]