平成から令和へ代替わりした2019年も
あと残り1週間余りになりました。
あと残り1週間余りになりました。
平成を振り返る記事や番組を見聞きした今年、
同じような趣旨の小説を読みました。
作家の葉真中顕(はまなか あきら)さんの
最新クライム ミステリー(犯罪小説)、
「Blue(ブルー)」 です。
平成の始まった1989年に生まれ、
平成の終わった2019年に死んだ
一人の男が主人公です。
平成の終わった2019年に死んだ
一人の男が主人公です。
東京郊外の中流家庭に生まれ育った女性が、
ダークサイドへ墜ちていく中で生まれたのが、
Blue(ブルー)と呼ばれる主人公の青(あお)です。
役所に出生届を出されずに無戸籍のまま育ち、
自堕落な母親に巻き込まれる形で人を殺め……、
というストーリーを、関係する人々の多人称形式で紡ぎ、
平成の暗黒面を語りきろうという意欲的なフィクションです。
メインの筋は、殺人事件の捜査の進行に沿って進むので、
いわゆる警察小説の趣もありますが、それに留まらず、
平成の世相を代表するようなトピカルな話題や事象が
てんこ盛りなので、ちょっとした平成史になってます。
「あっそうそう、コレはあの時に発売されたんだ」 とか
「あの曲は、この頃に流行ってたんだっけ」 などなど、
当時を懐かしく振り返るという楽しみ方もできます。
平成元年の初日に生まれ、平成31年の最後の日に亡くなる
数奇な運命を辿った一人の男が狂言回しをする
少し風変わりな時代史として楽しめる一冊です。
読み方は、人それぞれだとは思いますが、
「家族というものを重視しぎるのは危険である」
というのが、この本の主題のように感じられました。
夫婦別姓やLGBTなどについて政策も世論も分かれてる昨今、
家族や血縁について考える機会を与えてくれる本だと思います。
[ 2019.12.23(月)日刊 ]