67.「PK」伊坂幸太郎 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

67冊目

「PK」

伊坂幸太郎

講談社


PK/講談社
¥1,260
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その決断が未来を変える。


連鎖して、三つの世界を変動させる。


こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは―。


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「PK」

「超人」

「密使」


の3編収録の中編集。




あとがきによると、別モノだった3編を、書籍収録に際してリンクを増やして楽しめるようにしたようだけども、これがいい!




因果応報、などというとちょっと意味が変わってくるかもしれないけど、誰かが発した勇気で動く物事、誰かの臆病さで動く物事、という「リンク」というか「因果」というか、単純に「縁」というか。




「風が吹けば桶屋が儲かる」とか「袖擦り合うも他生の縁」とか、そういう「俯瞰で見る」という、本来の世界だけで見ているものには感知できない繋がりが良いです。




これぞ、伊坂幸太郎の真骨頂とでも言うべき、素敵な作品集でした。




いきなり最初の「PK」の構成から魅了されましたよ。




「ペナルティーキック(Penalty Kick)」と「サイコキネシス(PsychoKinesis)」のダブルミーニングになってるタイトルそのままに、どこに落ち着くのか皆目見当のつかない絶妙のストーリーテリング。




そして、後半に行くにつれてにやにやが止まらない作品間リンクの数々。




たまらんなぁ。




そういや表紙もドミノだもんなぁ。とか思ってもみたり。




「超人」で、青タイツに身を纏い赤いマントで夜の街を往く往年のヒーローとか出てくるのも面白かったです。




やっぱり伊坂さんは面白いなぁというとの、作品間リンクが大好きだな自分、というのを再認識した1冊でした。