31.「聯愁殺」西澤保彦 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

31冊目
「聯愁殺」
西澤保彦
中公文庫






聯愁殺 (中公文庫)/中央公論新社



¥800
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大晦日の夜。



連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団“恋謎会”の面々が集まった。



4年前、彼女はなぜ襲われたのか。



犯人は今どこにいるのか。



ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが…



ロジックの名手がつきつける、衝撃の本格ミステリ。







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梢絵への襲撃に失敗した後、忽然と姿を消した犯人。



警察の捜索も難航し、なにより守秘義務があるため、被害者である自分にも十分な捜索情報が与えられない現状。



自分が狙われた理由をどうしても知りたい梢絵は、藁へもすがる思いで“恋謎会”へと辿り着く。



暴論奇論が渦巻くメンバーたちの脳内遊戯は、真実を導き出すことができるのか・・・・・という話。



独自に調査をしたメンバーたちが持論を述べ、それを他のメンバーが批評し、徐々に真実へ近づいて・・・いってるのかそんなことはないのか判然としないような、西澤テイスト溢れる登場人物や推論が面白かったです。




あいかわらず性的倒錯とか大好きだよね、西澤さん。と、身も蓋もないことを思ってみたり。




回想シーンを除けばほとんどが “恋謎会”での会話シーンばかりという動きのない物語だったのですが、最後の最後に急展開。




「そうきたか」というよりは、「そこまでやるか」と唸らされるようなオチでした。




嫌いじゃないです、こういうの。




あと、西澤さんのノンシリーズものを読んだのは久しぶりだったのですが、登場人物のほとんどが難読苗字で難渋しました。




読み進めてはルビのない難読苗字にぶつかり、ルビのあったページまで戻り、また読み進めてはルビのない難読苗字にぶつかり、ルビのあったページに・・・という無間地獄。



途中からは正しい読み方を放棄し、字面と雰囲気で乗り切りました。




まあ、西澤作品ならではのお楽しみという側面もあるのですが。




ここまで難読だと、1冊すべての登場人物名にルビを振ってもいいと思うなぁ。